見出し画像

労働時間以外の業務負荷にも注意を~心臓・脳疾患労災認定基準改正|気ままに労働雑感

厚生労働省は9月14日、心臓・脳疾患の労災認定基準を20年ぶりに改正し、都道府県労働局長に通知しました。

改正後の基準では、長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化しました。
従来の基準において業務と発症との関連性が高いとされていた「発症前1カ月間に100時間超または2~6カ月間平均で月80時間超の時間外労働」を満たしていない場合であっても、これに近い時間外労働が行われ、労働時間以外の一定の負荷があった場合には、業務と発症の関連が強いと評価するとしています。

評価対象となる労働時間以外の負荷要因には、拘束時間の長い勤務や出張の多い業務などのほか、新たに勤務間インターバルが短い勤務や身体的負荷を伴う業務などを追加しました。

近年の脳・心臓疾患に関する労災補償状況をみると、請求件数は令和元年まで5年連続増加した一方で、支給決定件数は平成24年以降おおむね減少傾向が続いています。
しかし、労働時間と負荷要因を総合評価することを明確化するとともに、評価対象となる負荷要因を追加したことで、従来は認定されてこなかったケースも今後は労災として認められる可能性が高くなったと考えられます。

そのため、企業では過労死を防止する観点から、「1カ月100時間超」や「2~6カ月80時間超」といった時間外労働時間数のみにとらわれるのではなく、身体的負荷が大きい業務や不規則な勤務の削減のほか、適切な勤務間インターバルの確保などに配慮していく必要があるでしょう。

労働新聞編集長 金井 朗仁

―――――――――――――――――――

〈労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内〉
労働にまつわる最新の情報など、充実したコンテンツを配信中の『労働新聞・安全スタッフ電子版』は、下記よりご覧ください。

――――――――――――――――――――

Copyright(C)(株)労働新聞社 許可なく転載することを禁じます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?