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春季労使交渉を通じて働きやすさ向上を|気ままに労働雑感

経団連は1月18日、今年の春季労使交渉における企業側の基本的な姿勢を示す「2022年版経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)を公表しました。

それによると、業種や企業による業績のばらつきが拡大するなか、業種横並びや一律的な賃金引上げではなく、各企業が自社の実情に適した賃金決定を行うといった「賃金決定の大原則」にのっとった検討が重要になるとしています。

たとえば、収益が高い水準にある企業については、定期昇給などの制度昇給に留まらず、「ベースアップの実施を含めた、新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引上げが望まれる」と明記しました。

「賃金水準の引上げ(ベースアップ)も選択肢になる」とした21年の経労委報告に比べて、一歩踏み込んだ表現といえます。

他方、コロナ禍の影響で収益が十分に回復していなかったり減少していたりする企業では、事業継続と雇用維持を最優先にしながら労使が徹底的に議論し、自社の実情に合った対応を見出すことが望ましいとしています。

新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大や原材料価格高騰など、企業にとっての懸念事項は少なくないですが、収益が高い水準にある企業は、懸念事項の動向に気を配りつつも積極的な賃金引上げを行ってもらいたいと思います。

同報告では、賃金決定に加えて、総合的な処遇改善も重要な施策と位置付けています。

その方向性として、従業員の「働きがい」や、「働きやすさ」の向上施策の導入を挙げました。

働きやすさを高める施策については、フレックスタイム制や裁量労働制など柔軟な労働時間制度の導入・拡大、育児や介護、病気治療といった制約を抱える社員に対する仕事との両立支援策のさらなる拡充に向けた検討が求められるとしています。

また、コロナ禍で導入が広がっているテレワークへの対応として、ICT機器の支給や椅子・照明などの購入補助、在宅勤務の社員を対象としたオンラインの健康増進・病気予防プログラムの提供などを例示しています。

企業が将来にわたって成果を上げていくためには、必要な人材を確保し、その一人ひとりに継続的に能力を発揮してもらうことが大事だと思います。

そのためにも、企業においては、働きやすさの向上につながるような施策の導入について、春季交渉の場で積極的に議論・検討してもらいたいと思います。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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