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車いすラグビーから考える障害者雇用のポイント|気ままに労働雑感

皆さん、こんにちは。9月から労働新聞編集長を務める金井朗仁です。

労働新聞社では、「働くルールに関する情報を発信し、経済社会の発展と豊かな職業生活の実現に貢献する」をミッションとして掲げています。
弊紙ではこの方針の下、企業における生産性の向上や労使関係の安定、働きやすい職場環境の実現に役立つニュース・情報の発信を強化していきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

さて、このコラムでは、最近の労働関係法令や政策の動向、企業の取組みなどについて私が感じたことを取り上げていきたいと思っています。
初回は、自己紹介を兼ねて、私の趣味の一つであるスポーツ観戦を通じて感じたことをご紹介します。

取材活動でお世話になっている方の影響で、ここ10年程度は、障害者スポーツを含め、一般的に知名度があまり高くないスポーツの観戦を楽しんでいます。
そのなかで一番好きなのが、「車いすラグビー」です。
現在開催されている東京パラリンピックで存在を初めて知ったという方もいらっしゃるかと思います。

車いすラグビーは、バレーボールに似た専用球を使い、バスケットボールコートと同サイズのコート上で行う球技で、車いす同士の衝突が認められた唯一の障害者スポーツです。
ボールを持ってトライラインを通過すると1得点となり、試合時間内の得点数を競います。

その大きな魅力として挙げられるのは、なんといっても豪快なタックルなどにみられる迫力あるプレーです。
巧みに車いすを操り、タックルをしたり、それを見事にかわしてトライを決めたりするシーンは爽快そのものです。

もう一つの特徴が、障害の程度の異なるプレイヤーがそれぞれの役割を果たしながら、勝利をめざす点です。
各選手には障害の程度に応じて0.5~3.5点までの持ち点が決められていて、コート上でプレーする4人の合計点が8点以内に収まるようチームを編成しなければなりません。

障害の程度が軽い選手はハイポインターと呼ばれ、機敏な動きを生かして主にアタッカーとして活躍します。
一方、障害が重い選手は一般的に、先端に長いバンパーを取り付けた車いすを使用して、相手の動きを封じ込めます。
具体的には、相手方アタッカーの得点を防いだり、味方アタッカーが動きやすいように体を張って進路を開けたりしてチームに貢献します。

このため、障害の重い選手はトライこそ少ないですが、彼ら彼女らがしっかりと能力を発揮し、役割を果たすことでチームとしての勝利に近づくのです。

担ってほしい役割があるときに、それを担える能力がある人を配置して活躍してもらう、という考えは、企業における障害者雇用にも当てはまると思います。
弊紙で連載中の「能力を生かす!伸ばす!障害者雇用」第4回(労働新聞第3314号)では、障害者を採用する際のポイントとして、あらかじめ任せたい業務内容をできるだけ具体化し、求職者に提示することが重要と指摘しています。

そうすることで、任せたい業務を行える人からの応募が集まりやすくなり、定着にもつながるといいます。

また、同連載第5回(第3315号)では、選考時には障害の種別だけで能力を判断せず、一人ひとりと向き合いながら適性を見極めるのが望ましいとしています。

障害者の採用を検討している企業の方には、ぜひ参考にしてみていただきたいと思います。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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