20200222迷想日誌

改正法の4月施行へ臨戦態勢 厚労省|迷想日誌

厚生労働省が、重要改正法の4月施行を直前にして臨戦態勢に入っています。
改正パート・有期労働法と改正労働者派遣法に基づく「同一労働同一賃金」の施行、および改正労働基準法に基づく中小企業に対する時間外上限規制の適用に向けた動きです。

時間外上限規制の適用に関して厚労省は、まだ法律の内容を十分理解していない企業を一定数把握しているとし、年度末までに法律の周知に向けた取組みの総仕上げを実施するとしています。
雇用の7割を擁する中小企業に対し、都道府県労働局と労働基準監督署の現場において、「丁寧な対応」を行うことが重要と指示を飛ばしました。

これまでに作成した適用前の「集中施策パッケージ」では、特別条項付き36協定を締結している中小企業を集めて説明会を開くほか、説明会に不参加の中小企業に個別訪問して時間外上限規制の周知を図るとしています。

さらに警戒しているのが、大企業による中小企業への「しわ寄せ」です。
「しわ寄せ防止総合対策」に基づき、地方経済産業局などと密接に連携して対応する意向としています。
全国の労基署に対して、下請通報制度の的確な運用の徹底を図る考えです。

「同一労働同一賃金」の大企業への適用(中小企業への適用は令和3年4月)では、これまでに作成した「取組み手順書」、今後作成する取組み事例集などの各種支援ツールを活用して企業へ浸透させていく方針です。
重要な役割を負っているのが、都道府県労働局に設置している「働き方改革推進支援センター」です。
同センターでは、支援依頼があった企業はもちろんのこと、来年度にはそれ以外の企業に対しても専門家が直接訪問する「プッシュ型」支援を予定しています。

ただ、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)の人材育成・確保が心配事の一つのようです。
労働施策を打ち出す機関として、存在感をもって各地域における司令塔たり得ているか、そのための努力を怠ってはならないなどと、厚労省本省が強い口調で指示を発しています。

厚生・労働共通採用となって長期間が過ぎましたが、労働問題の専門家としての職員を育成しづらくなっているのは理解できます。
幹部となり得る職員の計画的配置・育成に力を入れる必要性が高まっているようです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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