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残念な「諮問会議」の大方針|迷想日誌

日本経済社会は、このままだと地に落ちそうです。
来年度政策の大方針を左右する経済財政諮問会議が再び財政緊縮の方向を強めそうです。
何としてもここで軌道修正させないと、デフレ脱却もできず、GDPも拡大せず、日本の世界的地位も相対的低下を続けてしまいます。残念でなりません。
「失われた40年」に突き進むことになります。

財政制度等審議会が同諮問会議に建議した内容によると、低金利下で国債増発のコストを感じにくいが、悪化した財政状況は将来への負担先送りとなるばかりか、現時点でもコストやリスク要因となっているとしました。
新型コロナ対応による短期国債の大幅な増発は、市中発行額の高止まり、金利変動に対する脆弱性をもたらしている。
歳出・歳入両面の改革により、社会保障制度の持続可能性を高めるとともに、PB(プライマリー・バランス)を黒字化し、新規国債発行額の総額を確実に減らすことが必要とぶち上げました。

全く逆の方針を突き進むのがアメリカ・バイデン政権です。
報道では、政権発足後初となる2022会計年度(21年10月1日~22年9月30日)の予算教書を米議会に示しました。
何と6兆ドル(約660兆円)の歳出規模を求めるもので、併せて富裕層への大幅な増税措置が含まれるとしています。
連邦政府の債務残高のGDP比は2031年には117%に達し、第2次世界大戦中を超える水準となる見通しとしています。

アメリカ民主党は、どうやらMMTに乗ろうとしています。
MMTとは、「現代貨幣理論」のことです。
最新の経済理論で、簡単にいえば、一定水準のインフレが発生しなければ、いくら国債を増発しても何ら問題はないとする考え方です。
これによって、雇用水準を引き上げ、賃金を上昇させ、GDPの増大を図る狙いです。
中国も事実上同じ政策を実行していますので、対抗せざるを得ない面もあります。

それに引き換え、日本はひど過ぎます。これから緊縮財政に進み、規模縮小を図ろうとしています。
それでなくとも、日本は、アメリカ、中国に比して所得格差の伸びが著しく低位にあります。
さらに格差が開き、日本は弱小国グループに陥るでしょう。
弱小グループに沈んだ日本を次世代に引き継いでも有難味はないでしょう。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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