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評価高まる雇調金手続きの大幅緩和|迷想日誌

政府による緊急経済対策がなかなか進まない中、厚生労働省による雇用調整助成金や学校の休業対応助成金などが、素早く動き始めていることが注目されているようです。とくに雇調金では、支給実行までの期間短縮に向けて手続き要件などの大幅簡素化を行いました。
これにより、支給まで1カ月をめざすとしています。

いま、何よりも重要なのは対策のスピード感です。
中小・零細事業者は、1カ月間収入ゼロとなれば、破綻の可能性が高まります。
緊急経済対策による現金給付や資金貸付が遅れれば、それだけ産業は消滅していきます。

アメリカやイギリス、フランスをみてください。アメリカは、もう既に1人13万円を給付しているようです。
フランスでは、中小事業者に運転資金として300万円を給付したという情報があります。
日本は、「戦時体制」とはいいつつも、後から批判されないよう?通常の手続きベースで進めているのでしょう。

ただ、冒頭に指摘したとおり、雇調金については特例措置の拡大を迅速に進め、とうとう手続きの大幅簡素化まで行いました。
具体的には、必要な記載事項を約5割削減(73事項→38事項)したほか、記載事項の大幅な簡略化、添付書類は一部削減や既存書類でも可能にし、休業計画届は事後提出でもOKとなりました。

しかし、雇調金にできることは、賃金に対する支援だけです。
中小・零細事業者の経営は、もちろん労務費だけで完結するわけではありません。
すぐにでも、現金給付、資金貸付けなどを実行し、破綻を防がなくてはなりません。
厚労省による雇調金の迅速対応は評価できますが、それ以外の主な経済対策は、世間の反響をうかがいながら小出しにしている感じで、どうしても納得がいきません。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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