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永遠のマスターピース。Gregory And The Hawk『Moenie and Kitchi』

2003年より活動を続ける、アメリカのフォーク・シンガー、Gregory And The Hawkことメレディス・ゴドルー。今回は彼女がイギリスのインディペンデント・レーベルFatcat Recordsからリリースした2008年作『Moenie and Kitchi』 当時はCDのみのリリースでしたが、2022年に日本企画盤としてアナログでのリリースが実現、リリースとなりました。

まず、Gregory And The Hawkことメレディス・ゴドルーについて。もともとは自身で活動し、セルフリリースも行っていたメレディス。(bandcamページはこちら)そんな彼女とFatcat Recordsとの出会いは偶然だったそう。

Fatcat Recordsのスタッフが、とあるブルックリンのバーへ訪れたある夜。メレディスはシンガーとしてバンドとともにステージにあがり、歌い始めると、その素晴らしい歌声にバーのお客さんたちから一気に歓声が上がり、思わずスタッフは彼女に声をかけたそうです。そしてその一か月後にはFatCat Recordsのスタジオでレコーディングをしていたという素晴らしいストーリーがあります。

私は実際にFatcatのスタッフのように彼女のライヴを観たわけではありませんが、初めて曲を聴いたときに「なんて可愛らしい歌声なのだろう…」とため息をついてしまったほど。背を向け俯向くアートワークの少女を思わせる、歌声。心が癒されます。

彼女の曲の魅力は、どこかで聴いたことがあるようなポップさだったり、迷いもなくスっと入ってくるところでもあると思うが、“普通の”フォークSSWとの違いが明らかにあると思います。彼女の歌声ってポストロックやフォークロトニカ系のサウンド、特にドラムの鳴りとかなり相性が良いのです。

それもそのはず、今作は実際にポストロック・シーンではその名を知らぬ人はいないであろうThe Dylan Group、そしてMice Paradeのアダム・ピアースがプロデュースしているのですが、こんなにマッチするプロデュースってあるの?と思うくらい合っています。メレディスのルーツであるピュアなフォーク・ミュージックと、アダムによるポストロックやエレクトロニカ的サウンドが見事な化学反応を起こしているのである。

どうしても、レコードの前半部分をフォーカスしがちなのだが、実は後半の「ghost」あたりの曲がめっちゃいい。ディストーションがかかったサウンドとか、前半では考えられない音の広がりがある。え、ここまでやんの?!ってなるくらいドラムも叩きまくっていて面白い。多分、前半の曲「Oats We Sow」や「Voice Like A Bell 」がカフェでBGMで使われていたりコンピに入っていたりで、曲単位で知っている人が多いと思うんだけど、実は後半はかっこいい!と思う箇所が多いんですよね。ここまでバンド色を出してくるアダムもすごい…。

約14年前の作品なのですが、いつ聴いても素晴らしく、いつ、どんな時に聴いても心が温まる。名盤ってこういう音楽のことだと思います。

2010年リリースの3rdアルバム『Leche』に収録のこの曲もとても良いです。ディストロを始めたばかりの時にFatcat Recordsよりレコードで入荷したことがあるのですが、もう廃盤になっているので今後見かけることはないんだろうな。。というわけで、本作のアナログもすぐになくなってしまうと思うのでお早めにどうぞ!

あと、本作とはあまり関係ないのですが、Gregory And The Hawkが好きな方は是非UKのSSW、Natalie Evansの音楽も聴いていただきたいです。柔らかな歌声、折り重なるコーラス…世界を彩っていくようなカラフルなサウンドをきっと気に入ってもらえるはずです。6月に新作アルバムがリリースされますので、チェックしてみてください!(当店では国内盤リリースを担当します!)

Moenie and Kitchi / Gregory And The Hawk の商品ページはこちら。
Natalie Evansの商品ページはこちら。

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