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社起大学長特別対談では、30社以上を上場に導いた名実ともに日本を代表するベンチャーキャピタリストの仮屋薗聡一さんをお迎えしたことがある。冒頭のレクチャーではVCが投資する際に重視するポイントは何か?そして僕との対談パートでは社起大生へのメッセージとして”STORY&SCALE“のお話を頂いた。

成功するベンチャーの要因として「天の時、地の利、人の和」という話が印象に残った。まるで戦国春秋時代の孫子の兵法だが、ビジネスは現代の戦だとすれば合点もいく。

 

 ・ 天の時 : 市場とタイミング

 ・ 地の利 : 製品と戦略

 ・ 人の和 : 経営者と組織

 

天の時とはそのベンチャーがスタートするタイミングやその時点での市場環境で、これはPEST、3C、5F、プロダクトライフサイクル等で説明できるが、起業家が意図して実現出来る部分もあるし出来ない要素もある。
地の利は自社の商品・サービスがどんなマーケティング戦略を取ろうとしているのか、というもので3C、SWOT、4P等で分析、立案可能だがこれはコントロールできると思う。
最後の人の和は経営者を中心にチーム編成だ。これは最も運の要素が大きいと思う。自分の経験上でも3つの要素のうちで最も大事だと思うし、仮屋薗さんもそう言われていた。ゴールを共有し、戦略を共に遂行する上で能力面、人間性の部分で経営者と補完関係を築けるチームが出来ているかということだ。名経営者と言われる人の側には、必ずそうたらしめている名相棒や名番頭、桃太郎チーム(※注)がいるものだ。

 

仮屋薗さんには社起大の卒業要件である事業計画プレゼンにゲストとして来て頂いたが、繰り返し学生達にアドバイス頂いた内容が”STORY&SCALE“だ。

STORYとは文字通りビジネスプランにストーリー性があるかどうかだ。これは聞き手の共感に直結するもので、顧客のペイン(解決して欲しい課題)がどれだけ具体的で明快になっているかというもの。そしてその顧客にとって「あったらいいな」ではなく「なければならない」と言えるほどのものであるかが問われ、事業計画完成前に検証しておくべき大事な項目である。
そしてSCALEだが、これは市場規模がスタート時点において巨大市場である必要はないが、既にニーズが顕在化していることが望ましいというもの。そしてその後の市場成長もしくは自社のシェアアップをどれだけ実現できるのかという可能性を意味する。

 

あと、言われていたのが今後は社会起業と資本主義型起業の垣根が低くなってゆくであろうという予見である。国内でもこれまで社会起業サイドからそれが言われる事はあったが、資本主義型起業のサイドから明確に語られたのは印象に残ったし、嬉しくもあった。なぜなら資本主義型起業にソーシャルの要素が加味されるということはあらゆるビジネスに社会貢献要素がこれまで以上により濃く反映されることになるからだ。

 

※注:桃太郎チーム

桃太郎さんというリーダーの元に、特技の異なる仲間が集まって共通ミッションを果たすというもの

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