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【備忘録】国語も大事

■仮説

プログラミング教育の必修化がいよいよ2020年度から始まります。ここで、一つ大いに違和感なのが、このプログラミング教育を算数、理科、総合的な学習の時間で行われるという点です。

「え、国語じゃないの?プログラミング教育は国語でしょ!?」

・・という、筆者の個人見解。
「国語の先生はプログラミング教育が出来ないから」という理由なんぞ示されたら発狂する自信がありますよ。

■雑感

文部科学省「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」の資料の中に次の一文があります。

「プログラミング的思考」には、各教科等で育まれる論理的・創造的な思考力が大きく関係している。各教科等で育む思考力を基盤としながら「プログラミング的思考」が育まれ、「プログラミング的思考」の育成により各教科等における思考の論理性も明確となっていくという関係を考え、アナログ感覚を大事にしていくことの重要性等も踏まえながら、教育課程全体での位置付けを考えていく必要がある。

「プログラミング的思考」の部分をそのまま「読解力と表現力」、すなわち「国語力」と言い換えられる、というか、そうすべき、いや、そうなるのではないか。コーディング(プログラミング言語を用いた記述方法)を覚えることがプログラミング教育の目的ではなく、教科・科目の垣根を超えた「汎用的な思考力」であり、そしてその土台は「国語力」だと考えています。実際、この国でプログラミングを生業としてる方々は「日本語で記された仕様を読み解き、プログラミング言語で表現(記述)すること」つまり、何より先ずは日本語を正しく理解することが求められているのです。

そして、希望的な推測ですが、この「プログラミング的思考」を通じて、「国語力」の向上へと繋がるかもしれない。これをきっかけに、教科や学科に対するメンタルモデル、枠にとらわれたこどもたちの「思考の自主規制」を取り払うことができれば、学習の飛躍的な成果が生まれても不思議ではありません。

・・・と、現場の先生たちがそのような感触を得られることを、子を持つ父として願うばかりです。

■メモ・コピペ

・「見方」「考え方」

国語科における「見方」「考え方」、対象と言葉言葉と言葉の関係を言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉えその関係性を問い直して意味づけることといえる。

中央教育審議会答申では、「見方・考え方」を「各教科等の特質に応じた物事を捉える視点考え方」と規定し、教科等の教育と社会をつなぐものとして、まさに学びの本質的な意義、その中核と位置づけている。

「言葉による見方・考え方」を育てることは現在の国語科教育の中心的な課題であり、言語活動を通して、国語で正確に理解し適切に表現する 資質・能力を育成することを目指している。国語科における「資質・能力」を育成するための前提として「『言葉による見方・考え方』を働かせる」ことが位置づけられている。

・プログラミング的思考

学習指導要領解説では、「プログラミング的思考」を次のように位置付けている。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号をどのように組み合わせたらいいのか、記号の組合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、ということを論理的に考えていく力

・国語科の「見方」「考え方」と記号論の関係

言葉と関わる項目には「主体」「対象」「言葉」の三つがあり、その関係に着目することで、国語の「見方」「考え方」と記号論との共通の論点が見いだせる。

「言葉の働き、使い方」
 →記号
解釈者の関係を扱う「語用論」
「対象と言葉の関係」
 →記号
指示物の関係を扱う「意味論」
「言葉と言葉の関係」
 →記号記号の関係を扱う「統辞論」

①「言葉の働き、使い方」=「語用論」
「適切さ」 という観点で、言葉の「機能」「運用」「効果」の妥当性を問う。「言葉が使い手の意図やその場の状況に適っているかどうか」

「機能」:相手を説得できたかどうか
「運用」:聞き手に対して適切な言葉づかいを選択
「効果」:聞き手が「もっと聞きたい」という気持ちになったかどうか

「言葉の働き」は表現や理解の主体の「目的」や「意図」によって決まる。また、「言葉の使い方」を意図するのも、表現や理解の主体である。(主体には自己と他者の両方が含まれる)

②「対象と言葉の関係」=「意味論」
「正しさ」という観点で、言葉の「記述」「理解」「解釈」を問う。「対象と言葉が一致しているかどうか」

「記述」:対象から言葉への方向性
事物や出来事を「記述」すること。対象を言葉によって「表す」こと。
対象を言葉によって「表す」こと。事物や出来事を他者に伝える活動。

「理解」:言葉から対象への方向性
言葉で表現された事柄を「理解」すること。言葉はどのような事物や出来事と「対応」しているか、を明らかにすること。関連する語のまとまりに着目して語彙を増やす「語句レベル」と、文章に述べられている事物や出来事を明らかにする「文章レベル」の2つ。

「解釈」:対象と言葉の間を往復
主体が考えを深めるときには、対象と言葉の間を往復する。「理解」した事柄を言葉で表現し、その妥当性を吟味し、対象と言葉の間を往復しながら考えを深めること。

③「言葉と言葉の関係」=「統辞論」
「整合性」という観点で、言葉の組み立てにおける「規則・構造・論理」を問う。「言葉と言葉の組み立てが首尾一貫しているかどうか」

「規則」:語と語の組み合わせのきまり
「構造」:組み合わせられたつくり(文)
「論理」:文と文を組み合わせた表現

理由や根拠を明らかにし、原因と結果の 関係に着目して思考を深めていく。統辞論とは「語を組み合わせて、さらに大きな単位である句や文を作る仕組みを研究する」言語学の分野。

・「目的」は国語科における重要な要素

小学校中学年の学習指導要領の中で「目的」という語が複数回記載されている。「目的」を意識することが「書くこと」「話すこと・聞くこと」「読むこと」のすべての領域に位置づけられており、言い換えれば「目的」を意識することは、すべての領域を貫いて働く「ものの見方・考え方」だといえる。言語活動にお いては、「意図」や「目的」「相手」は欠かせないものであり、いずれも「語用論的側面」の重点的な要素である。

・教育の前提としての言語能力育成

中央教育審議会では、言語能力を構成する「テクスト(情報)を理解するための力」や「文章や発話により表現するための力」の要素を専門的に整理した上で、国語教育等において、語彙を豊かにすること、情報と情報の関係性を論理的に捉えるなど情報を多角的・多面的に精査し、構造化する力などが、発達の段階に即して系統的に育成されるよう、小・中・高等学校を見通して教育内容の充実を図ることが検討されている。プログラミング教育を含む全ての教育の前提として、こうした言語能力の育成に向けた国語教育等の改善・充実を図っていくことが不可欠である。

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