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U.S. 70s Rock #4

Santana - Santana (1969)

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 1969年ウッドストックフェスティバルは様々なロックレジェンドを生み出した。イベントそのものから、ジミヘンやジャニス、ザ・フーの伝説にジョニー・ウィンターやマウンテンの知られざる出演にドアーズの未出演伝説、また、リッチー・ヘブンスの度肝を抜くパフォーマンスもやむを得ない対処と今は知られている。更にスライがロックファンの市民権を獲得したイベントお目見えもあり、デビュー前の新人が大御所以上の迫力を示した驚異的なサンタナのパフォーマンスも斬新な一幕と知られているので、ウッドストック出演バンドを制覇して整理すると概ねロックも聴けていく気がする。自分がロックを追いかける際は好みが出てしまったので、聴かないバンドもあって網羅できていないから大いに反省。

 Santanaのウッドストック出演のパフォーマンスの高さはアルバムデビュー前だったが、既にデビューは決まっていた中の話題ともなり、待ち焦がれてアルバムを入手したリスナーがどれだけ居たか不明ながら、1969年に「Santana」で実質のデビューを果たしている。ウッドストックで驚きを与えたラテン・ロックがあの感動的にパワフルな演奏で収録されているので、存分に味わいまた斬新な刺激を受けるアルバム。サンタナは主役ながらアルバム内でギターが主役を飾っている時間軸はそこまで多くなく、ラテンパーカッションのインパクトに時間を割かれており、また、後にジャーニー参加で知られるグレッグ・ローリーのハモンドオルガンの出番が全編に出突っ張りな程に弾かれているから、アルバムを流してから数分しないとサンタナのギターが聴けない。出てきても迫力のソロプレイとは異なるカッティングギターの音だから、この後にイメージする弾きまくり姿にはまだ進みきれていない。また、コーラスもどきのボーカルもサンタナだが、ジャケットからイメージする襲いかかるような激しいアルバムの出来映えではないから勘違いしやすい。

 その代わり出てきた時のギターの音色やプレイ、味わいぶりやフレーズは斬新でこの当時からサンタナと分かる個性で、スタイルは変わらずと頼もしく聴ける。後の時代に書けば、そう聞こえるが、当時リアルでこんなアルバムが出されたら飛び付く人が大多数とは想像に難くない。世の中に存在していなかったロックとジャズとラテンの複合技、パーカッションがあるから呪術的にノリやすく高揚しやすい雰囲気があり、そこでロックのエッセンスも入るから興奮する。ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」の延長線上にあるサウンドと言えば分かりやすいが、当然ながらもっと本格的な融合技でロックに寄せる事も考えていない、ギターを弾きまくる事も狙っていないから純然たるラテン・ロック。聴いてしまえば目を見張る発見や刺激が存分に味わえる傑作。

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