たたききる

 じゃが芋を選んだところで無料カードが作られた。それではこちらにご署名お願いします。ただいまより永久会員になられました。裏面の注意書きの言葉には厳しいところもあった。他店へ流れたものは叩き斬らせていただきます。これは少し引っかかる。


「たたききるとは何ですか?」
「文字通りですが」
「そんなわけないでしょう」
「規約になりますので」
「何をたたききるの?」
「他店へ流れたお客様になります」
「はあ?」


「是非とも当店のみをご利用ください」
「のみじゃなくてもいいでしょう」
「一応、そういう規約になりますので」
「規約って何の規約ですか」
「当店の規約になっております」
「やっぱりやめていいですか」


「はい?」
「やっぱりやめます。会員になるのやめます」
「ご署名いただいておりますので」
「だからやっぱりやめときます」
「他店へ流れるということでよろしかったでしょうか?」
「いや別に……」
「よろしいでしょうか?」
「はあ、まあ」


「緊急。流れ発生中」
(流れ発生。流れ発生。流れ発生。流れ……)
「えっ」
(2番レジにて流れ発生。至急成敗してください)


「たたききったるぞ!」
おーお前か、流れるってか、たたききったる!
おーいこいつか、たたききったるわい!
おーこらー、とっとと、たたききったれ!
えーい、きれーい、みんなでたたききったれ!
こいつめ、流れるってか、たたききったれよ!
たたききったれ! たたききったれ! たたききったれ!
たたききったれ!
たたききったれ!
きったれ! きったれ! きったれ!
きったれ!
きったれ!


ハンドウイルカに会うため山に行く?
筋の通らぬ妙な話よ


#詩 #小説 #裏切りの街 #短歌 #接客

#折句 #春休み


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