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カートムレコーズ名盤(その3)ゴスペルグループ ヴォイシズ・オブ・イースト・ハーレムの魅力

ニューヨークの貧困街、イーストハーレムの10代の女性を中心に、1969年に結成されたゴスペルグループ、ヴォイシズ・オブ・イースト・ハーレム。

なんといっても若さ溢れるパワフルな歌声と情熱的なハーモニーが魅力の彼女達。下のライブ動画はBBキング等が主催した、1972年にニューヨークの刑務所にて行われたライブ。全身から溢れ出るような歌声が感動的です。会場の熱気といい、物凄いエネルギーですね……。

そんな彼女ら、1972年までにElektraというレーベルから2枚のアルバムを出したのちにカートムに移籍します。カートム移籍後は少し大人なサウンドのアルバム2枚を残しており、どちらも素晴らしい作品なのでご紹介したいと思います。

The Voices of East Harlem (1973)

まずはカートム移籍直後の3rdアルバム。前作までの、上のライブのような、ゴスペル色を前面に出したパワフルな作品も魅力的ですが、カートムに移籍して以降はもう少し落ち着いた、ソウルの枠組みの中できっちりと個性を発揮しているような、非常に聴きやすいサウンドとなっています。

ほとんどの曲をリロイ・ハトソン が手掛けており、プロデュースはカーティスとリロイ。良くないわけがないという布陣です。キャッチーでポップセンス溢れる楽曲と最高にグルーヴしている演奏という、カートムならではのサウンド。そして何より彼女らの瑞々しい歌声が堪りません。

ピアノが刻むリフが気持ちいグルーヴを作り出す冒頭の「Cashing In」、彼女達の魅力であるパワフルなゴスペルワークが楽しめる「Wanted ,Dead or Alive」、「New Vibrations」。そして、「Giving Love」のようなメロウで、じっくりと歌を聴かせるような曲もあり、非常にバランスの取れた良作揃いの作品です。

Can You Feel It (1974)

このグループのラストアルバムとなってしまった4th。こちらはプロデュース、アレンジともにリロイ・ハトソンが手掛けています。元々のゴスペル色 はかなり薄れてしまったものの、メロウグルーヴ、レアグルーヴとしての大名盤となっています。

まず聴いていただきたいのがタイトルトラックの「Can You Feel It」。イントロのキメのインパクト、70年代のドナルド・バード辺りのジャズファンクの要素すら感じる洗練されたグルーヴ、そしてサビの高揚感といい、文句なしの名曲です。

そして、「Rare So Rare」。いかにもリロイ・ハトソン らしいメロウグルーヴ。エレピとギターのアルペジオ、それにオルガンが絡んでくるイントロでまずやられます。艶のある女性ボーカル、コーラスが何とも夢見心地な1曲。

そしてもう1曲「Just Got To Be Myself」。波の音から始まり浮遊感のあるウーリッツァーが乗っかってくる展開に耳を奪われます。名曲はイントロから既に名曲です。歌声、コーラス、ホーンアレンジがソフトロックをも彷彿させるメランコリックな仕上がりです。

全体を通して非常に完成度の高いサウンド。リロイのソロ作同様、他のソウルミュージックと比較し、歌が前面に出過ぎず、サウンドに溶け込むような立ち位置にあるため 、この当時は十分理解されなかったようですが、後々になって高い評価を受けることになります。

今回は、ゴスペルグループ、ヴォイシズ・オブ・イースト・ハーレムのカートムレコーズに残した作品2枚をご紹介しさせてもらいました。どちらもゴスペルの枠にとらわれない、エバーグリーンな作品なので是非聴いてみてください。

カートム移籍前のアルバムもダニー・ハサウェイがプロデュースで関わっていたりと、素晴らしい作品なのでそちらは別の機会に紹介したいと思います。


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