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長崎次郎書店近くに祖父が、早野ビルの前に祖母が住んでいたため、熊本市電も身近にある環境…

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長崎次郎書店近くに祖父が、早野ビルの前に祖母が住んでいたため、熊本市電も身近にある環境で育ちました。そんな訳で長崎次郎書店、早野ビル、市電は大好きな風景です。今年はこれらすべてが100周年を迎えると思いきや...。長崎次郎書店と長崎書店にまつわる謎解きに挑戦しています。

最近の記事

長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也⑥冨山房

保岡勝也に設計を依頼したきっかけ  長崎次郎書店の設計を保岡勝也に依頼したきっかけについては、以前も紹介した以下の熊本日日新聞の記事が参考になった。  この「富山房」とは、東京都千代田区神田にある現在の「有限会社冨山房」のことである。ここで冨山房について触れておく。 冨山房とは  冨山房の創業者は坂本嘉治馬。慶応2年(1866年)3月、高知県宿毛町に生まれ、明治17年(1884年)、18歳の時に上京する。[1]大隈重信と共に現在の早稲田大学を創立した小野梓と同郷だっ

    • 長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也⑤誰が保岡勝也に設計を依頼したのか

      なぜ熊本に保岡勝也の作品があるのか  「誰が、どんな経緯で保岡勝也に設計を依頼したのか」についても、いくつかの説がある。ここでは3人を紹介し、さらに4人目の人物である可能性を考えていく。 長崎庄平説  株式会社長崎書店の長﨑健一社長が平成26年(2014年)、地元のラジオ番組に出演した際には、長崎次郎書店の2代目の長崎庄平が東京に出張した折、保岡の建築に惚れ込み設計依頼を決意したと述べている。以下に出演した時の内容が記載されている。 長崎仁平または長崎次郎説  昭

      • 長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也④もう1つの保岡作品「塔屋」の謎

        塔屋  安西園恵「保岡勝也の経歴と作品について」の中で「保岡勝也の作品」が表にまとめられている。その中に以下のように書かれている。  大正13年の「長崎次郎書店正面」は現在の建物のことを表していると思われる。ここで注目したいのは昭和5年「長崎次郎書店塔屋」である。建物とは別に昭和に入ってから塔屋が造られたという事実があるのだろうか。ここではそのことについて考察してみたいと思う。 長崎次郎株式会社に残る詳細図  長崎次郎株式会社には、現在のファサードのために大正時代に

        • 長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也③長崎次郎書店設計以前のつながり

          長崎次郎書店支店(現 長崎書店)大改修工事 熊本市中央区新町に現存する長崎次郎書店の図面が描かれたのは、大正13年と大正15年とされている。それ以前の大正3年に、保岡勝也は熊本市中央区上通町にある長崎次郎書店支店(現 長崎書店)の改修工事を手掛けていた可能性があることが分かった。その根拠となる資料を3つ挙げる。 資料1  まず1つ目は昭和4年9月に出版された下吉正助「熊本之事業と人物」の中の「長崎書店」の記事に書かれている次の文章である。  この文章を見て、大正15年

        長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也⑥冨山房

        • 長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也⑤誰が保岡勝也に設計を依頼したのか

        • 長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也④もう1つの保岡作品「塔屋」の謎

        • 長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也③長崎次郎書店設計以前のつながり

          長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也②長崎次郎書店はいつ建てられたのか

          5番目の説 昭和4年3月新築説について考える大正13年、大正15年に設計され、なぜ昭和4年竣工だったのか?  長崎次郎書店支店(現 長崎書店)創業25周年にあたる大正3年に、まず保岡勝也の設計により長崎次郎書店支店の大改修工事が行われた。      そしてその10年後、今度は長崎次郎書店創業50周年の大正13年に長崎次郎書店ファサードの図面が描かれている。これは創業50周年を記念したリニューアルのためとも思われるが、このタイミングで施工されることなく、さらにその後の大正1

          長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也②長崎次郎書店はいつ建てられたのか

          長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也①長崎次郎書店はいつ建てられたのか

          はじめに  保岡勝也が設計した長崎次郎書店の建物は、同社のホームページによると大正13年(1924年)に創建されたという。しかし調べていくとその竣工年は謎に包まれており、異なる4つの竣工時期に関する記述を見つけることができた。年代の古い順に参考にした資料と該当箇所を引用してみる。 ①明治45年2月26日までに再建されたという説  割と新しい2020年に発行された熊本市の資料に書かれているのが、こちらの説である。「明治45年2月26日までに」ということは大正13年も含ま

          長崎次郎書店、長崎書店と保岡勝也①長崎次郎書店はいつ建てられたのか