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安達ロベルト水彩画展「Shapes of Joy」

安達ロベルト水彩画展
Shapes of Joy

2023年4月4日(火)-30日(日)
12:00-19:00 (月曜休廊 最終日16:00まで)
入場無料

15日(土) 18:00〜 ギャラリーにてハンドパンライヴ

ルーニィ・247 fine arts Room 2
〒103-0001
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9さとうビルB館4F
TEL & FAX 03-6661-2276

十代の頃、よく短波ラジオを聴いた。インターネットがなかった時代、知識もお金もなかったが好奇心だけはあった少年にとってほぼ唯一の、リアルタイムで世界を知ることのできる手段だった。

グアム発の放送で、毎週欠かさず聴いていた番組があった。千数百マイル向こうからのノイズ混じりの不安定な電波に乗って、軽快なギターのテーマ曲が聞こえてくると、心が躍った。海の向こうからの風が心に吹き込み、未来への希望に燃えた。将来は国際組織で働き、世界の平和に貢献したいと思っていた頃だ。

その後大学に進み、卒業するころになって、自分のやるべきことはアートだと方向転換した。意気揚々と選択したものの、待ち受けていたのは、技術もない、知識もない、当然仕事もない自分に落ち込む日々。

数年経ったある日、たまたま友人の家で、存在すら忘れていたあのテーマ曲がリビングのスピーカーから流れてきた。そのとき初めてその曲が「Joy」というタイトルだと知った。忘れかけていた少年時代の希望とよろこびが内側に溢れた。

大学を卒業して今年で30年。人に言えないような失敗や挫折の連続だったが、無我夢中で作品をつくってきた。

振り返ると、作品の大小、具象抽象、明るい暗い、媒体の種類にかかわらず、そして作者のそのときの精神状態にかかわらず、内側のたましいは常に「よろこび」を表現したがっていたことに気づく。

30年前の今頃、桜の木の下でスーツ姿で輝く同級生たちを見て、急に将来が不安になった当時の自分に言ってやりたい。大丈夫、たましいの声に正直に、よろこびを表現しつづけなさいと。

ここにある作品たちが、あなたにもよろこびを運び、共鳴、増幅しますように。

安達ロベルト

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