2023年をひとことで言えば/2023に買ってよかったもの
アトリエの引越しを終えて、もぬけの殻のようになっていた。当分そんな状態がつづくかと思っていた矢先に、チャレンジングな年明けの仕事の依頼がいくつか入って、急にスイッチが入った。移転した途端に(まだ新しい名刺さえつくっていないのに)これは、幸先がいい。
2023年をひとことで言えば、「整理の年」だったかもしれない。
継続したこと、新しく始めたこと、得たことも多くあったが、それ以上に、これまでの創作活動で未整理にしてきたことを作品集で整理し、日々の生活で未整理にしてきたものごとを引っ越しで整理した。何を残し、何を手放すか、ずっと考え、行動していたような1年だった。人間関係でも、寂しさや期待、プライドを捨てて、手放したものもあった。
そんな1年だったから、あまりものは買わなかった。すべてのお金を近所の八百屋などで生活必需品だけに使ったんじゃないかと思えるくらいだ。それでも、振り返ると、買ってよかったと思えるものがいくつかある。
「具体と抽象」(細谷功著、dZERO)
ものは買わなかったが、本はたぶん人並み以上に買った。そのなかで、もっとも影響を受けたのがこれ。写真講座の参考にと読み始めたら、これまで未整理だったことをこの本がきっかけで整理して見られるようになった。副題にもあるように、世界が変わって見えるようになったと思う。
MacBook Air
個展とライヴと作品集の制作期間に、使っていたMacBook Proのディスプレイが壊れた。よりによってなんでこの時期にと思った(ちなみにこの時期、パソコン1台、プリンタ1台、カメラ2台、ミキサー1台が壊れた)が、日々使う必需品にして消耗品だからと久々に現行品を買ったら、すごくよかった。心配だった動画編集も、インテルx2 + 16GBのProよりも、このM2 + 8GBのAirのほうが圧倒的に速かった。
前のマシンからこちらに全移植することはしなかった。あらためて必要といま思えるアプリとデータだけ移植した。ここでもやはり、整理。
Leica M6
2022の復刻バージョン。昨年末、発表された当日に電話できなかったから、到着はきっと半年後くらいだろうと思いながら翌日にライカ銀座で予約した。すると、年末ギリギリに入荷の連絡があった。たぶん最初のバッチを譲ってもらえたんだと思う。ありがたい。
年明けに引き取って以来、毎日カバンに入れている。かつて所有していた1980年代製のM6で不満に思っていたことがすべて解決されていた。いまはカラーフィルムを入れることが多い。
デジタルカメラマガジンのM11 Monochromのレビュー記事を担当したとき、あらためてデジタルMもいいなと思ったが、M6への満足度が高すぎてデジタルMを真剣に買おうと思わなくなってきたのは、問題だ。たぶん。
毎日持ち運んでいるくせに、以前のようになんでもかんでもフィルムで撮ることはなくなった。これは写真に残したいというときにだけ撮っている印象。この間京都に行ったときにも持って行ったのに、けっきょく1枚も撮らなかったのに我ながら驚いた。
生活のなかで何を自分が大切にしているかM6から教えてもらいながら、人生の優先順位を整理しているかのようだ。
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