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Olympus ACE

2024年最初のフィルム

今年もよろしくお願い申し上げます。
24年最初のフィルムはフジフイルムの感度100ネガで、オリンパス エースに装填した。ここ最近いつも現像を依頼しているお店に行ったところ、装置に不具合が発生して現像できないとのことだったので、一駅乗って別の店に出して来るという、新年早々慌ただしいことになってしまったが、電車で隣の駅まで行けば現像できる店がある、ということ自体は、今時としては恵まれた環境なのかも知れない。これがなるべく長く続いて欲しいものだし、そのためにも定期的にフィルムで撮って行くことが必要だろう。

オリンパス エースというカメラ

このカメラはレンズ交換式レンズ(リーフ)シャッターカメラというジャンルに分類される。シャッターはボディ側、レンズマウントの中にあってレンズはシャッター機構の小さい筒の中にマウントされる。マウント部分にある同心円状に動く部分がファインダー内の距離計に連動していて、ここにレンズ側のピンがはまってレンズがどの位置にあるかが伝わるようになっている。ライカのようなカムがあってレンズ後端がそれを押す場合は、レンズの焦点距離によって繰り出し量が異なるのをダブルヘリコイドで変換しているのが通常であるが、このカメラの場合は回転角が距離に相当するので、レンズ側は繰り出すねじの角度で焦点距離に合ったレンズの繰り出し量を設定している。レンズは35、45、80mmの3種があり、ファインダー内には3種類のブライトフレームが全部同時に表示される。最短撮影距離は80mmが1.2m、他は0.8mとなっている。
カメラの操作はいたって普通のマニュアルカメラの方式で、巻き上げはレバー式、フィルムカウンターは順算式、裏蓋を開けるとスタートにリセットされる。巻き戻しはクランク式で、巻き上げや巻き戻しは軽く操作できて使いやすい。
その一方で、巻き上げのレバーやカメラの内部機構の精度からか、少し頼りない感じがするのと、距離計の二重像が薄い個体が多いのは残念である。また、メッキの質があまりよくなく、外観が劣化した機体が多く見られる。私の持っている機体はおそらくそれをカバーするためか、前のオーナーがブラックペイントに塗り直したものである。オリジナルの状態ではブラックペイントは存在しない。

E.Zuikoレンズ群

3種類のレンズはいずれも5枚構成のレンズである。オリンパスのレンズの命名法だと、5枚レンズはAから数えて5番目のEを付け、E,Zuikoとなるので広角から望遠まで全部E.Zuikoとなるが、この後に-W、-Tをつけて広角、望遠の区別を追加している(標準はE.Zuikoのみで-Sなどはつかない)。どのレンズもコンパクトな外観で、嵩張らないのはありがたい。以下にレンズについてのコメントと撮影例をアップしておこう。
●E.Zuiko-W 3.5cmF2.8
レンズ構成は3群5枚、ヘリア型の広角レンズで、あまり他に例がないように思う。絞り開放からF4くらいまで、周辺画質は良くないが絞ればシャープになる。中心部は絞り開放から鮮鋭である。

関戸橋遺構
E.Zuiko-W 3.5cmF2.8/ F8,1/125
右下部分は自分の指が写り込んでしまった。
蓑山神社にて
E.Zuiko-W 3.5cmF2.8/ F2.8,1/15
周辺の結像はイマイチである。
ミューズパークにて
E.Zuiko-W 3.5cmF2.8/ F2.8,1/500
最短撮影距離付近で撮っている。
武甲山と秩父市内
E.Zuiko-W 3.5cmF2.8/ F8 1/2,1/125

●E.Zuiko 4.5cmF2.8
4群5枚のゾナー型に分類される標準レンズで、この形式は後のレンズ固定のコンパクトカメラでもよく使われたから、体験した方も多いのではなかろうか。このレンズは絞り開放からシャープで、安定してよく写る。

関戸橋、架け替え工事中
E.Zuiko 4.5cmF2.8/ F8,1/250
完全逆光だがよく写っている。
多摩川
E.Zuiko 4.5cmF2.8/ F5.6 1/2,1/250
皆野町にて
E.Zuiko 4.5cmF2.8/ F4,1/500
皆野町にて
E.Zuiko 4.5cmF2.8/ F8,1/250

●E.Zuiko-T 8cmF5.6
テレタイプの中望遠レンズである。レンズマウント部分の径が小さいため、開放F値はF5.6と暗い。描写はシャープだが、周辺光量落ちがあり、特に画面四隅は黒くなる。開放F値から、少し暗くなると撮影は難しくなる。今回の撮影例では近距離での写真がないが、最短撮影距離1.2mでも案外ピントを外すことはなく、距離計の性能とF5.6という開放F値が上手い具合にバランスしていると思う。

落書き
E.Zuiko-T 8cmF5.6/ F8,1/250
周辺光量落ちが目立つ。
富士山
E.Zuiko-T 8cmF5.6/ F11 1/2,1/250
ファインダーのブライトフレームがずれているようで、画面左側が多くなってしまっている。
富士山夕景
E.Zuiko-T 8cmF5.6/ F5.6,1/30
露出不足だが、手持ちだったのでこの条件で撮影した。
武甲山
E.Zuiko-T 8cmF5.6/ F8,1/125

おわりに

オリンパス エースはボディもレンズもコンパクトにまとまっていて、使いやすくよく写るカメラだと思う。状態の良い機体が少なくなってきているので、手元の機材を大事に使って行きたい。

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