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横尾本谷に行ってきました

9月の連休の前の週に、北アルプスは横尾本谷というマイナールートへ行ってきました。誰もいない広大な横尾カールは、まさに北アの穴場という雰囲気で最高でした。

日程

仕事でまとまった休みがとれたので、4連休の前の週の9/14-16の2泊3日で行くことにしました。場所は、かねてから行ってみたいと思っていた横尾本谷というルート。横尾から涸沢の途中から、登山道を外れて沢沿いに登っていく、道なき道を行くバリエーションルートです。単独なので不安な気持ちもありましたが、日程的に同行者も見つかりそうもなく、無理せずゆっくりと、できるだけ気をつけて行くことにしまいた。

初日

前夜に高山市の某所で車中泊。関西に比べるとかなり涼しくて、肌寒いくらい。明け方はまさかの雨で驚きましたが、平湯の駐車場まで行くと晴れてきて一安心しました。
初日の行程は上高地から横尾本谷カールまでです。月曜日で、連休の前の週ということもあってか上高地は空いていました。

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河童橋から穂高を眺めている人もまばら。4連休の同じ場所の映像がニュースで流れていましたが、それを見た時にこの時行っておいて良かったと思いました。

上高地から横尾までは高低差の無い林道歩きが続きます。ここは以前にも通ったことはありますが、駆け抜けるように歩いてしまったので、今回はとにかくゆっくり、のんびりと上高地の自然を味わうことを心がけました。

途中、徳沢で休憩中に靴のソールが剥がれかけていることに気づき慌てました。結局今回は問題なかったのですが、事前準備でちゃんと確認すべきでした。上高地からたっぷり3時間かけて横尾には11時ごろに到着。

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立派な横尾大橋を渡ります。途中の橋までは登山道を進み、途中から道を外れて河原沿いを登っていきます。

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通常のルートはこの橋を左から右に渡った後もずっと道が続いているのですが、今回はあえて河原に下りて進みます。もちろん誰もおらず、ここから翌日の昼くらいまで、誰とも合わない時間になりました。

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基本は河原歩きですが、登山靴を濡らさないように右岸から左岸に渡ったりとルートを気にする場面が多く、あまりスピードが上がりません。

水量は平時よりもやや多いようで、事前に調べた記録では伏流している区間でもジャブジャブ水が流れていました。

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だんだん川幅が狭まってきて、標高が上がってきたことを感じます。沢に下りてからしばらくは、登山道を外れてこんな場所を歩いていいのか、もし怪我をしても誰にも助けてもらえないかも、という不安や居心地の悪さのようなものを感じましたが、しばらく歩くとその気持は自然と消えていき、静かな山に自分がしっくり来ている感覚になります。

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大きな石が積み上がった場所を超えると、広大な空間に飛び出ます。横尾カールに到着しました。空間の広がりというものは写真ではなかなか伝わりにくいのですが、閉塞感のある沢をずっと詰めてきた後に、開けたカールに飛び出たときの鮮やかさはとても印象的でした。

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水場が近く、平坦な場所を適当に見つけてテントを張ります。本来は北アルプスでは指定キャンプ地以外での幕営は禁止されているので、極力植物を下敷きにしないように、地面が露出している場所にしました。また、生々しい焚き火の跡もありましたが、今の時代、山で好き勝手に焚き火をするのは考えものですね。アメリカでトレッキングしたとき、自然を自然のままにしておくという理念が徹底されていることに感動しましたが、この点日本はまだまだ遅れていると言わざるを得ないと思います。

テントを張ってしばらくは周辺をうろうろしてみましたが、自分以外に誰もいないということの開放感は圧倒的で、心細さは全くありませんでした。夜は8時前には寝ましたが、かなり熟睡できました。それでも夜にトイレに行った時、近くで何かが動いている音が聞こえて少しビビりましたが。

2日目

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翌朝も最高の天気でした。テントを片付けたら少しの藪こぎの後に、カールの奥に見える稜線に上がっていきます。いつもは割と歩くのが速い方なのですが、今回はとにかくゆっくり歩くことを自分に言い聞かせながら、景色を堪能して歩いていました。人気の北アルプスの中でも、特に混雑している涸沢カールによく似ていますが、涸沢とは違ってここには誰もいません。この景色、空間を独り占めできるのは最高の贅沢でした。最後は結構急登になっていて、道もなく、ルート取りを誤ると積み上がった岩が崩れたりして危険です。ここは慎重に登っていきます。

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後ろを振り向くと、昨夜テントを張った場所や、詰めてきた沢がよく見えました。これもなかなかの景色です。

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そして、息を弾ませてカールの縁を越えると、続いている稜線の奥に槍ヶ岳が鎮座していました。ここから一般道はすぐ目の前でした。ひとまず無事に登山道に出てこれてほっとしました。

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天狗池からの槍ヶ岳。風が少しあったので鏡写しとまではいきませんが、十分美しいです。

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槍沢を経て横尾方面に下っていきます。天気も良くて風も涼しく、人も少なくて最高でした。以前槍ヶ岳から上高地は歩いたことがありますが、相当ハイスピードで飛ばしていたせいか、あまり記憶に残っておらず、新鮮な気持ちで歩けました。

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16時頃に本日の宿の徳沢園に到着しました。いつか泊まってみたかったキャンプ場ですが、こんな空いてるときに来ることができてラッキーでした。夜ご飯はキャンプ場のレストランでカレーを食べました。

3日目

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3日目は上高地バスターミナルに戻るだけの短い行程ですが、上高地の沢のせせらぎや鳥の声に耳を澄まして、豊かな時間をとことん味わうことを意識しました。
途中の明神小屋で朝ごはんのおにぎりを食べたりして、10時ごろに上高地に戻ってきて、旅を終えました。

今回、単独でのバリエーションルートということもあり、結構ぎりぎりまで行こうかやめようか迷っていましたが、結果的には行って大正解でした。
事情により、これからしばらくは泊まりの山に行けなくなるかもしれないのですが、最高の夏の思い出になりました。

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