“自分が欲しい”小学校入学準備グッズを作るいくつかの工夫
はじめに
現代日本には、子供が小学校に入るとき、上履き入れや体操着入れや “防災頭巾バッグ“ なるものを用意する若干めんどくさい風習があります。驚いたことに保護者の方が自作する前提のしくみのようですが、最近はお店やminneなどのハンドメイドマーケットで好みのものを探して購入するなんてこともできるようです。
わが家にも息子が進学予定の小学校から「必要なものリスト」が送られてきました。僕は裁縫はさっぱりなのですが、妻は布ものをハンドメイドすることは嫌いではないらしく、こうした小学校グッズは最初から手作りするつもりだったようです。
ただ、市販の作り方ブック的なものを参考にするとどうしても子供っぽくなるのが嫌なのだとか。せめて “自分でも欲しい” ものを作りたい、と相談しつつ(僕は口を出すだけですが)あれこれ工夫していたのですが……数週間後、できあがったものたちがこちらです。
完成品
基本方針
なんだか想像していたよりも大分ソリッドなものができ上がってびっくりしました。小学校グッズとしてはかなり異質なものになっている気がする。妻曰く、基本方針は次の2点とのこと。
手作り感よりもインダストリアルなテイストを狙う
夫婦ともども山と道のバックパックを愛用しているのですが、上履き入れや給食袋にもアウトドアギアに使われているビビッドな配色とカリっとした質感を導入してみる。
そのままだと子供用品として硬くなりすぎそうなので、たまにかわいい柄物の布やワッペンでうまく中和してあげる。
僕の肌感覚として、「子供っぽくない」小学校グッズを求める保護者の方もそこそこの数いる気がしています。作ったときの記録を簡単にまとめておくと、そういった方々の参考になるかもと思い、この記事を書いています。
参考書・配色と構造
直接本の型紙などは使っていないとのことですが、正面をツートーンにするアイデアと巾着袋の形は「Gomaのゆかいなこども雑貨」(写真右)、バッグの入口にある ”口布“ の構造や付け方は「かっこいい!通園&通学グッズ」(写真左)を参考にしたそうです。
生地について
メインの生地はオカダヤで買ったものですが、ポイントとしては綿布コーナーだけでなくナイロン地のコーナーも覗くと良いとのこと。特にビビッドな色は化繊の生地しか出せないので差し色に使えそうな強い色も購入します。厚手のナイロンの丈夫な生地をバッグの底にしたりするのは見た目も締まるし機能的にも意味があって良い感じでした。
柄物に関しては jumble shop one で購入。甘い系から格好良い系まで幅広いので新着からばーっとチェックして気に入ったものをピックアップしました。ただしシーチング(綿の生地の中でも薄手の生地)が多く、生地一枚で使うには心許ないので裏地をつけるか、そもそも裏地に使うなど使い方を注意する必要があるとのこと。
ディテールの作り方
特に袋ものは細かいディテールアップパーツ的なものがいくつか導入されています。これがあるだけで断然仕上がり感が違ってきます。
ワッペンたち
ワッペンは実は数年前に「子供が使うものにつけよう!」と意気込んで Mokuyobi というネットショップから大量に買ったものの、ほとんど手付かずだったものたちです。今こそ使うときだ! と一気に投入されました。こういうある種ネタっぽいパーツ、変に恥ずかしがらずに3つとか4つとか同時に使ったほうが潔い気がします。
赤タグと名前のタグ
学用品はたいてい名前を入れることが指定されています。名前タグは共布だったり別布だったりを物によって変えており、保育園に入学するときにどうせ使うからと思って作った名前スタンプに合わせた寸法です。なお、小さい赤いタグは単なる装飾で機能的な意味はありませんが、こういうものがついているとちょっと締まりますね。
また、トートバッグに関しては名前タグを赤タグと揃えて半分ハミ出させています。これも特に深い意味はない遊びのディテールですが、やはり学用品感の減退に寄与しています。
名前タグに使ったスタンプだけは僕が担当しました。普通に発注するとデザインがあまり気に入らないことが多いので以前オリジナルで注文したものです。写真にはモザイクかけてますが書体は「秀英丸ゴシックB」で、楕円でも四角でもないソフトな枠で囲ってあるのがポイント。
スタンプはどうしてもほっこり感が出がちですが、枠があるだけで締まって見えます。化繊系の布だと油性インクでも乾きが悪かったので、プラスチック用のスタンプ台を追加で買いました。
パラコードとコードストッパー
よくある巾着袋は綿の丸紐ですが、今回は山道具などに使うパラコードをハトメを使って通し、バネ式のコードストッパーで止める形式にしました。これは一気に「製品感」が増します。念のため、6歳の息子がコードストッパーを扱えるか確認しましたが、コツをつかめば特に問題なさそうです。
底についているパラコードのループは、よくアウトドアバッグについているもののサンプリングで必須のものではありません。これをランドセル横のフックに吊り下げるとかはあるかもしれない。
ナイロンテープとDカン
手作りトートバッグの持ち手は、綿の平織りテープか本体と共布で作られることが多いです。これをナイロンテープにするとシャープな印象になります。シートベルトのようなツルツルの素材も検討しましたが、肩に引っかけたときに滑って使いにくそうなのである程度ザラついた素材のものにしました。この場所のDカンはあまり機能的な意味はありませんが(キーホルダーとかお守りとかつけたら可愛いかもしれない)、色つきのプラスチックにするとどうしても安っぽくなるので黒にしています。
マグネットホック
上履き入れと防災頭巾バッグには、女性もののハンドバッグなどに良く使われているマグネット型の留め金が使われています。気持ちよくパチっと留まるのと、スナップボタンよりも軽い力で外せるので生地を傷めにくいです。これも念のため子供がひとりで扱えるか確認しましたが、まったく問題ありませんでした。
バイアステープ
ランチョンマットは裏地がついていますが、端がバイアステープで縁取りされています。特に曲線のものに関しては綺麗に等間隔でエッジがついて、仕上がりがきれいになります。
可愛い系の生地を裏地に
外面がかなりソリッドになったので、バナナとかカエルとかの可愛いめの生地は裏地に使ってイメージをちょっとだけ中和させます。
キルティングの裏地
学用カバンといえば(おそらく強度やハリが出ることなどから)キルティングの布、というイメージがありますが、全面に使うといかにも子供おけいこバッグ的な雰囲気になるので、裏地にだけ薄い中綿のキルティング布を使っています。これである程度乱暴に物をつっこんでも大丈夫なはず。
作業メモ
主なディテールについての説明は以上です。
最後に、作ったときに妻が書いていたメモを、特に清書もなくですがアップしておきます。もし本当に直接参考にするところがあれば、寸法などが読み取れるので活用してください、とのことです。
付記
肝心の息子は「これ小学校に入ったら君が使うんだよ」と言ったら曖昧にニヤニヤしてまんざらでもない様子でありました。良き小学校ライフになりますように。
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