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給食エピソード

うちの校区の中学校では卵や牛乳以外の珍しい食物アレルギーの聞き取りをしてくれている。

毎月のメニュー表を保護者がチェックして学校に提出すると、先生は生徒が間違って食べたりしないよう気をはらってくださる。

中学生だから、ある程度自分でも判断できるだろうし、家でも言って聞かせれば二重三重に安全というわけで、とてもいい仕組みだと思う。

ところがこのシステムの難しさを初めて感じたエピソードがある。

信仰上、豚肉を食べてはいけないことになっている女の子にまつわる話だ。

女の子のお母さんは、毎月一生懸命慣れない日本語のメニュー表を確認する。
給食に豚肉が登場する頻度はかなり高いので、給食費を払うのが勿体無いほどだ。
手間とコストから「少しでも友達と同じものを食べさせてあげたい。」
というお母さんの愛情をひしひしと感じる。

ある日、給食当番で女の子は大きなおかずを運んでいたらしい。
先生が「それは食べれんのー?♫」
と会話のついでみたいに何気なく聞いて
女の子は「うーん♫」と応えて
その後普通の会話に戻って通り過ぎていったそうだ。

その日の大きなおかずはベーコン入りのスープだったんだけど、横で聴いていると
女の子がそもそもベーコンが豚肉でできているのを知らないのか、
知ってるけど食べたいのか全くわからなかったそうだ。

これってお母さんの気持ちを考えると頭が痛い。

でも女の子が食べてみたい場合は、自由にしていいのではとも思う。

でも食べちゃった場合の信仰上のリスクは全くわからない。

すごく考えた結果、
先生が豚肉のことに触れずに
「食べられんのー?」
って聞いたのは、それだけで
「あれ?豚肉入ってたっけ?」
と考えさせるきっかけになってる。
その上で彼女が
「うん」
と応えたならそれを尊重する。
クラスのみんなも
「ベーコンって豚肉だよ?」
とか言わない。

いい先生とクラスメイトだなと感じ入った。

お母さんの希望とは違うけど
娘さんはお母さんの希望以上のものを給食で得ているなと
思ったよ。

正解なんてないよなぁ!

それからもう一つ感じた。
うちの子もきっと私が知らない間に
たくさんの人に見守ってもらって
ちょっとした冒険させてもらったりしているのだな。

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