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26.新スタジアムを「渋滞対策の拠点」に

1.はじめに


車社会と言われる地方都市熊本。数年前より、熊本市の交通渋滞が「政令指定都市ワースト」というワードを頻繁に耳にするようになりました。また、TSMC(JASM)の菊陽町進出などもあり、「渋滞対策」に対して、より一層県民の関心が高まっているように感じます。

県が推進している「空港アクセス鉄道構想」をはじめとして、熊本市は「高規格道路や市電延伸の構想」、菊陽町は「中九州横断道路及び、セミコンパーク周辺の多車線化の早期実現」等へ働きかけていて、様々な大規模整備を目指す動きが見られています。

一方ロアッソ熊本は、将来的な新スタジアムの整備に向けた準備を始めたとされています。(「2023ロアッソ熊本サポーターミーティング」議事録より)。

具体的な計画はこれからになるかと思いますが、今以上の集客を目指すと共に、それを経済波及効果に繋げていく取り組み等がなされていく事になると思います。

ただその新たな賑わいが、「また別の交通渋滞を生む事になるのでは」という疑念を持つ人が出てきてもおかしくはないと思います。それについては、公共交通機関を含むアクセスや入退場時間の分散化、試合後に通えるテナント(飲食店など)をスタジアム内に包括化するなど、工夫次第で人流をある程度コントロールする事は可能ではないかと思います。

今回私が着目したいのは、試合やイベント日以外(平日)のスタジアムの利活用について。前述したように、渋滞対策とは一見、相反するように思える新スタジアムが、むしろその課題解決を担う可能性を秘めているのでは。といった内容で書いてみました。

(あくまで、個人的な見解に基づくもので、そのあたりはご理解下さい🙇‍♂️)

2.熊本の交通渋滞

交通渋滞は、ドライバーの精神的なストレスとなるだけでなく、様々な面において不利益に繋がるとされています。特に熊本における渋滞で、話題の中心となっているのは、熊本市の中心地や、菊陽・合志のセミコンパーク周辺。ただし、それらの渋滞がいくら酷いとはいっても、曜日や時間帯、天候など様々な条件によって交通量は変動します。

もちろん、あらゆる条件で広範囲をカバーするような整備(都市高速など)ができれば、理想的だと思います。ただし、それには膨大な資金と、調査から完成に至るまで長い年月を要す事が予測され、それを実現させる事は容易で無いと思います。

また仮に、大がかりな整備を計画しても、例えば20年もの年月を要す事になれば、AIを活用したルートコントロールや、移動手段そのものも変化(電動キックボードの普及やドローンバスなど)といった技術的な進歩や、社会情勢の変化により、完成した頃には時代にそぐわないと言った事も起こりうるのではと思います。

その様な懸念もあり、対象や条件を明確にしながら比較的早期に実現できる取り組みが重要になると感じます。より優先されるべきかなと感じるのは、平日の通勤・退勤時間の渋滞。通勤時は時間的な制約が伴う為、所要時間の短縮や定時性が求められます。一方退勤時は、早く帰り着きたいという人もいれば、買い物や飲食店へ立ち寄りたいというケースもあるかなと思います。


3.スタジアムの特性

□使用日メインは土曜・日曜などの休日

□数千〜数万という人の往来が可能なアクセス

□巨大施設であり、空間の活用がしやすい

4.新スタジアムに期待される機能

□大型駐車場

□駅近の立地

□コワーキングスペース

□バスターミナル

□商業施設など

5.スタジアムによる渋滞対策

①仕事場としての活用

新スタジアムでは、駅周辺など今以上に交通利便性が高い場所での建設を目指す事になると思います。もし、その様な好立地でスタジアムが建設され、内部にコワーキングスペースなどが整備されれば、その場所が利便性の良い新たな仕事場ともなれると思います。これは渋滞対策としては、大きな効果を発揮するものでは無いかもしれませんが、平日のスタジアムの利用価値を高める事には繋がるかなと思います。

②バス輸送拠点(パークアンドバスライド)

新スタジアムにて、大型駐車場バスターミナル、そして駅近という条件を満たす事ができれば、平日のバス輸送の拠点地としての役割を担えるのではと思います。

JRやバス、自家用車、自転車など様々な移動手段で通勤する従業員をスタジアムに集約。そしてそこから、シャトルバスにて大量輸送する事で、渋滞箇所の交通量削減に繋がる可能性もあるのでは無いでしょうか。

ただし、パークアンドバスライドは乗り換えを挟む為、時間のロスや自由度という点で弱さがあります。その為、単純に大型駐車場からバス輸送するというだけでは、パークアンドバスライドの利用は広まらず、渋滞対策として限定的となる可能性があると思います。

パークアンドバスライドの利用を促進する為には、その利用価値を高める必要があると思います。新スタジアムを多機能複合型とし、例えば保育園やインターナショナルスクール、飲食店、スーパー、カルチャーやレジャー施設などがスタジアム内に集約されれば、それらに仕事帰りに立ち寄りやすいといったメリットを感じられると思います。そして、それが平日のスタジアムの収益化にも繋がる事にもなると思います。

また、ロアッソ熊本は昨シーズン終盤より、大規模なパークアンドバスライドの運用を実施しています。県の支援を受けての事ではある様ですが、誘導や利用促進への取り組みなどでは、実績作りができてきているのでは無いでしょうか。もし新スタジアムが建設され、アスリートクラブ熊本(ロアッソ熊本)が指定管理者となれば、その運用実績が強みとなるかもしれません。

6.最後に

TSMCの進出で湧いている熊本ですが、その人材や居住区の確保・渋滞対策といった部分が議論の中心となっているように思います。また震災やコロナ禍の影響で、滞っていた議論が再開されている自治体もあると思います。

その様な状況もあり、サッカースタジアム単体で、その議論の中に割って入っていく事は難しく、予算執行における優先順が回ってくる事をただ待っていても、実現は遠いのではと思います。

今回、新スタジアムが好立地に建設される事を前提とした上で、その活用方法次第では渋滞対策の一役を担えるのではといった話をしました。特にデータ等を基にしたものではありませんし、パークアンドバスライドが効果的なアプローチになり得るかどうかは、もちろん専門的な調査検証が必要とはなると思います。

熊本地震からの復興に落ち着きを見せる中、社会を一変させたコロナ禍。そしてその次にやってきたのはTSMC進出と重点課題に立て続けに直面している熊本。そこに割って入る事は、なかなか難しさはあると思いますが、それらを何とか新スタジアムに向けたチャンスに繋げて欲しいなと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました🙇

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