板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイント②
日差しが強くなるという外部環境の変化があったら、それに対応するべく日傘をさすように、外部環境が変わったらそれに応じた事業展開が必要であることは言うまでもありません。そして、それを行うためには外部環境がどのように変化したのかを把握する必要があります。
カエルをぬるま湯に入れ、徐々にお湯の温度を上げていくと、それに気付かないままカエルは茹で上がり、死んでしまいます。このカエルが自分の命にかかわるほど、お湯の温度が上昇していることを把握できていれば、お湯から出るという対応ができるはずです。
このように外部環境の変化を把握することは経営者として重要なことですが、当補助金の＜経営計画＞「２．顧客ニーズと市場の動向」は、外部環境を把握し、その内容を記載する欄です。そして、この内容をきちんと今後に生かしていくかどうかが審査されます。
このことは、当補助金のルールブックである「公募要領」内「審査の観点」というページにある下図「書面審査」の下線部分にも記載があります。
当記事では、下記の持続化補助金ホームページからダウンロードできる板金加工業の計画書記載例を取り上げ＜経営計画＞「２．顧客ニーズと市場の動向」の書き方を見ていきます。
【商工会議所エリア】
【商工会エリア】
以下は、今回見ていく記載例ですが、書き方のポイントとして吹き出し部分が挙げられ、以降でそれぞれを解説していきます。なお、今回の記事は2022年7月9日現在の情報に基づいています。
１． 板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2
板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2（1）マクロの視点から述べる
外部環境には「マクロ環境」と「ミクロ環境」がありますが、「マクロ環境」は企業にとって統制することが不可能である環境、つまり業界内の各企業とは無関係に起こっているものを指します。具体的には、人口統計的環境・経済環境・技術環境・政治環境などが挙げられます。
例えば、自社の業績が非常に悪く、その要因として受注量の減少があったとしても、業界全体の市場規模が拡大しているとしたら、なぜ伸び盛りの業界の中で、自社の受注が減少しているのかを検証する必要があります。このように大枠を踏まえることも外部環境分析としては重要と言え、記載例では、板金加工の市場規模を述べています。
板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2（2）ビジュアルに訴求する
上記の「マクロ環境」はインターネットで検索した情報をもとに分析することが一般的だと思われますが、その際にはグラフや図表の掲載があるものを選択し、当欄に挿入すると、読み手の理解は進みやすくなるでしょう。
読み手は貴社に縁もゆかりも興味もない方である可能性が高いため、図表などを用いず、単に文章だけで外部環境の説明をしたとしても、徐々に集中力が削がれ、結果として内容が頭に入らない可能性があります。
これに対して、ビジュアルに訴求する構成だと、上記のリスクはある程度低減されることが期待できます。記載例では「市場動向の図等」と記載された部分があり、事務局側としても、それを勧めたいという意図がうかがえます。
板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2（3）ミクロの視点から述べる
外部環境には、前述の「マクロ環境」の他に「ミクロ環境」もあります。これは、業界内の各企業が働きかけることで統制が可能な外部環境を指します。具体的には、競争状況・流通チャネルの構造・顧客動向などが挙げられます。
記載例では＜精密板金加工分野＞、＜レーザー加工分野＞、＜その他＞を取り上げ、それぞれにおいて顧客動向が記載されています。さらに、各顧客が持つ顧客ニーズの記載があれば、より採択を引き寄せることができると言えるのではないでしょうか。
今回の記事では、板金加工業の計画書記載例の中で＜経営計画＞「２．顧客ニーズと市場の動向」の採択を引き寄せるポイントとして（1）マクロの視点から述べる、（2）ビジュアルに訴求する、（3）ミクロの視点から述べる、を挙げました。次回も当記載例を用いて「３．自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
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