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【リーダーシップの失敗から学ぶ!】自己正当化バイアスを克服する3つのヒント

1.自己正当化バイアスが誤ったリーダーシップに繋がる


 部下のモチベーションが上がらず、業績の伸びもいまひとつ。リーダーとしてやれることはやっているし、手を抜いているつもりもない。そんなリーダーは誤った方向で頑張っている可能性があります。

 東京から北海道に行くために全力で九州に向かっても、北海道には絶対にたどり着きません。どんな全力で向かったとしてもです。そこで、一度立ち止まり、「今、自分は北海道方面に進んでいるのか」と自問する必要があります。

 これは、自身のリーダーシップについても同様です。そして、リーダーシップが間違った方向を向いている場合、認知バイアスのひとつである「自己正当化バイアス」が働いている可能性があります。つまり、「今、自分には自己正当化バイアスが働いていないか」と自問することで、間違いを正すことが可能になります。

 私は21年の間、ガソリンスタンドの運営会社に勤務し、そのうち13年間は店長として、通算7か所の現場を経験してきました。店長時代に中小企業診断士の資格を取得し、現在は経営コンサルタントとして仕事をしています。よって、店長時代の成功事例も失敗事例も、コンサルの視点からその要因を明らかにすることができます。

 この記事では、私がガソリンスタンドの店長時代に経験した失敗から、自己正当化バイアスの危険性と克服方法を詳しく解説します。そのポイントは、(1)自分の思考に気づく、(2)異なる視点から物事を考える、(3)フィードバックを求める、の3点です。

 まずは、自己正当化バイアスについて見ていきます。

2.自己正当化バイアスが引き起こす問題

 自己正当化バイアスとは、自分の行動や判断を正当化しようとする心理的な偏りのことです。これは、人間は常に自分の行動を正しいと信じたいという欲求から生じるものです。これにより、以下のような様々な問題が発生するリスクが高まります。

  • 誤った意思決定:自分の過去の行動や信念に固執し、新しい情報や異なる視点を受け入れられなくなる可能性があります。

  • 人間関係の悪化:自分の意見ばかりを主張し、相手の意見を尊重しなくなる可能性があります。

  • 葛藤の深刻化:自分の間違いを認められず、問題解決が困難になる可能性があります。

 以下では自己正当化バイアスによって、このようなリスクが顕在化してしまった、私の失敗談をご紹介します。

3.自己正当化バイアスによるリーダーシップの失敗例

(1)首都圏の店舗では上手くいったものの・・・

 当時の私は、首都圏のあるガソリンスタンドで店長を担っていました。接客や作業マニュアルなどを作成し、マニュアル通りに実施できていないスタッフには厳しく指導をしていました。

 時には怒鳴りつけることもあり、その指導の厳しさについてくることのできない部下が退職することも意に介さず、解雇を言い渡したこともあります。

 このようなリーダーシップは、その店舗にはうまくハマり、大きな業績を出すことができました。周囲には私に意見を述べることのできる人がいなかったこともあり、店長経験の浅かった私は、自身の店舗運営方法が絶対的であると自信を深めることになりました。

「ワイのマネジメントは完ぺきやで」

(2)地方への転職

 その後、私は家庭の都合で実家のある地方都市へ引っ越し、現地のガソリンスタンドを運営する企業に入社しました。同社の経営者は私の実績を踏まえ、社内に改革を起こしてくれると期待し、さっそく店長に抜擢してくれました。

 私は経営者の期待に応えようと、以前の店舗で自分が実施してきたマニュアル接客などの施策を赴任先の店舗にそのまま取り入れようとしました。ですが、現場スタッフの協力を得ることができませんでした。

 当時の私は、以前の店ではその運営方法で大きな実績を出していましたので、自分に非があるという考えを持つことが出来ませんでした。結果として店舗の雰囲気はどんどん悪化し、私は同社を退職することになりました。

「ワイの何がアカンのやろ?」

 当時の私には、自分の店舗運営方法が正しく、それ以外の方法は間違っているという、自己正当化バイアスが働いていました。それは既存スタッフの働きぶりを否定することに繋がっていきましたので、協力が得られず、反発されるのは当然のことでした。

 では、このような自己正当化バイアスを克服するためにはどのような方策があるのでしょうか。

4.自己正当化バイアスを克服するための3つのヒント

(1)自分の思考に気づく

 自己正当化バイアスを克服する最初のステップは、自分の思考に気づくことです。自分の考えや感情は、第3者の視点からはどのように見えるのか検討し、それが自己正当化バイアスに基づいているかどうかを判断するようにしましょう。

(2)異なる視点から物事を考える

 物事を異なる視点から考えることは、自己正当化バイアスを克服するのに役立ちます。上記の事例で言えば、「同業他社から転職してきて突然店長になった人の部下」の立場で考えてみると活路が見出せたかもしれません。

(3)フィードバックを求める

 信頼できる人に、自分の行動や判断に対するフィードバックを求めましょう。客観的な意見を取り入れることで、自己正当化バイアスを克服することができます。

5.自己正当化バイアスを克服し、より良い人生を歩む

 自己正当化バイアスを克服することは簡単なことではありませんが、その影響を最小化することは可能です。上記のヒントを実践することで、より客観的で合理的な思考ができるようになり、適切なリーダーシップに繋がるようになるでしょう。

 なお、ご自身のリーダーシップが正しい方向を向いているかどうか気になる方は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。弊社のお問合せフォームに移動します。

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