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飯テロ展覧会~「おいしい浮世絵」展

夏の展覧会というと、浮世絵が合う。
もちろん、浮世絵には冬や春の題材も少なくない。
それでも、藍や紅の摺った色合いが夏の風情を喚起させるのだ。

そう思う人が多いのかわからないが、今夏は浮世絵の大きな展覧会がいくつか開催されている。その一つが森アーツセンターギャラリーで開催されている「おいしい浮世絵」展だ。

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その名の通り、浮世絵の中に描かれる食べ物を通して、当時の人たちの暮らしを垣間見ようというもの。

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歌川国芳「春の虹蜺」
ウナギが高価な食べ物になって久しいが、当時はこんな風に若い女性がガブリと食べるような庶民的なものだった。
それにしても、いい食べっぷり。
また女性の着物の柄も、さり気なくお洒落である。

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月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」
こちらはてんぷら。当時は屋台で買っていたという、いわばファストフード。ほつれた髪がなまめかしい色っぽい女性と、てんぷらという組み合わせがどことなくユーモラスだ。

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歌川広重「東都名所 高輪廿六夜待遊興之圖」
てんぷらや寿司、そばといった屋台がひしめいている。
さしづめ、観光地の出店のようだ。
この日は、二十六夜待ちという行事。
元々は二十六日の月を見ると、仏さまが拝めるという伝承がきっかけで、月が出るまで飲み食いをしながら待つというもの。それが次第に「遊興」と化してきたイベントである。ちなみに二十六日目の月が出るのは、深夜1時を過ぎるとか。我々が思っている以上、昔の人はパワフルで活動的だったのだ。

なんか、ちまちまとカロリーや成分を気にして節制しているのがばからしくなる、好きなものを好きなだけ食べたくなる。
そんな展覧会であった。

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