邦画史上最高の脚本だそうな~「切腹」

映画の評価はストーリーテリングだけではないとは思うのだが、映画はホンが命、という風潮をもたらした巨匠のひとりは橋本忍だったと思う。
橋本というとどうしても黒澤明の映画を思い浮かべてしまうが、それ以外の傑作の呼び声高い作品がこちら。1962年公開「切腹」

かつて、映画を志す人たちは本作でその構成を勉強していたという。
たしかにそう言われても納得してしてしまうくらいキッチリカッチリした展開。うーん、隙というか遊びがない。
モノクロ映像の効果も相まって、終始緊張感が貼り詰める。

リアルタイムの白洲の場面と回想とが交互に進行するのは、同じく橋本が脚本を書いた「羅生門」を彷彿とさせる。あの作品の構成も確かに秀逸。

最後は反体制的なメッセージを醸しつつ終わるのも、1962年という時代のなせる業か。

それにしても主演の仲代達矢はこの時30歳。
戦争を経験してきた世代は貫禄が違う。

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