見出し画像

狙っていない未熟さ~「ファンシイダンス」

日本のコメディ映画というと、本当に安っぽいアイドルものか、シュールものか、たいていはそのどちらかになる気がする。
その後者で商業的にも成功した例が今回の映画。
1989年公開の「ファンシイダンス」だ。

これを見てつくづく感じたのは、セリフの棒読み感である。あえてこのようにしているのか。これが映画全体を訥々とした印象につくり上げている。

それにしてもモッくん、見た目が今もこのころから変わっていないのはすごい。
だがそのキャラクターはいまの落ち着いたたたずまいとは違って、少々エキセントリックな印象が強かった。

とりわけ今でも思い出すのが紅白歌合戦でのパフォーマンスだ。

首から提げているのは、空気を入れて膨らませたコンドーム。
エイズ防止に向けたアピールとのことのようだが、今ならNGに違いない。

さて、映画の方に戻る。
周防監督とモッくんは、このあと「シコふんじゃった」で再度タッグを組み、見事日本アカデミー賞を獲得することとなり、ともにスターダムへと昇っていくことになる。

彼らのその後の活躍を知っていればこその作品とも言えるが、粗削りで方向性を模索している者同士の、狙っていない未熟さが意図せずに独特の空気を生んでいて、それがシュールにも見えるということなのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?