見出し画像

がんばれ日本画!「改組 新 第9回日展」

今年も日展の季節になり、さっそく足を運んできた。


毎年このチラシを貼っているけど、相も変わらず。。次回からはもういいかな。

それでは、日本画部門・洋画部門それぞれで目に留まった作品を5点ずつ紹介していきたい。結果的にいずれもプロの方ばかりになってしまった気がする。

日本画部門

”天の声 ~十字峡~” 古澤洋子

2003年と2008年の特選受賞者ということで、もはや大家の画家である。ということを後で知ったわけで。
水面や岩肌の描き方が伝統に則りつつ、上から十字峡をのぞき込むような構図に興をそそられた。谷間に天の声を聴いたという画家のコメントも面白い。

”初夏の予感” 青野圭花

こちらは前回の特選受賞者ということだが、去年はノーマークだった。
日本画なのを忘れてしまうような透明感というか清涼感というか。こうして距離をとって観ると水面と蓮というモチーフが分かるが、近づいてみると抽象画とも見紛うような面白い作品。
昨年も似た画題だったようなので、また違った趣の作品も観てみたい。

”翳りゆく時” 松田絵理

前回も目に留まった画家の作品。今回もモノトーンを基調としてごくワンポイントとして赤を挿しているのが印象的。近づいてみると着物や背後の襖の模様が凹凸になっていて、細かいこだわりも見て取れた。画題的にも日本画らしくて、今日日こういうストレートな作品が逆に新鮮だったりもする。もちろん技術あってのことだけれども。

”錦秋に歩む” 藤島博文

この方も過去2回の特選受賞者。この卓越した筆さばきたるや。この人の隣には掲げられたくないだろうなぁ。昭和期の大家のような作品のようで、横山操あたりに近いだろうか。それにしても技術面では今回の中では圧倒的だったと思う。

”秋色” 池内璋美

で、その圧倒的な作品の隣に展示されていた作品がこちら(笑)
でもこの作品も相当な画力だったので、決して引けはとっていない。一面のヒガンバナ。毒々しいまでの赤が、この作品を耽美的なものに仕立てているようだ。一輪ずつ丁寧に書き込まれていて、その気力と画力には恐れ入る。
なおこの方も特選2回。

洋画部門

”白昼の階段” 飯塚康弘

今年の特選受賞作品の一つである。作者は高校の先生だとか。
夏の日差しだろうか、日陰とはいえ暑さが伝わってくるよう。色使いも決してありきたりではなく、彩り豊かでありつつ、とっちらかることなく統一感が保たれていて、結果石段の存在感が増しているように感じられる。

”REBIRTH、月の仔” 松本貴子

古式ゆかしい伝統的な西洋画を踏襲していこうという印象を受けた。
構図は安定していて筆遣いも落ち着いていて、技量の高さも感じた。こういう作品こそ、お手本なのだよなあ。

”娘” 山本佳子

前の作品が古典主義とすれば、こちらは印象主義だろうか。
モデルの方の魅力もさることながら、堂々とした作品である。ご令嬢の若いひと時を逃さず切り取って画布に収めたような、そんなみずみずしさが感じられた。

”半夏” 阪脇郁子

これは洋画である。一瞬そんなことを忘れてしまうような作品。
日本画になりそうなモチーフを実に写実的に描いている。着物の鮮やかな青色が涼し気な印象をもたらしてくれる。

”雪解の朝” 白井秀夫

こちらも写実的な風景画。
特に画力の高さを感じられたし、こういうモチーフも自分好み。

マイ・フェイバリット

”花燦燦” 福田季生

何と艶やかな。。
着物には溢れんばかりの意匠が施されていて、背景は金箔。なのにゴチャゴチャした感じもせず、むしろスッキリする印象を持たせるのは、やはり卓越した技量によるものか。

”ヴェニス(カナル・グランデ)” 歳嶋洋一朗

今回も”歳嶋ブルー”たっぷりの作品。出品作多しと言えど、こういう作品は他にないのが不思議。いやそれこそ画家の力量の証だろうか。

ということで今年もたっぷり堪能したのだが、全体の印象としては洋画はかなり優れた(プロっぽい)作品が多く見られた一方で、日本画の方は巧拙の差が歴然としているような気がした。
やはり日本画の方が敷居が高いということだろうか。

そろそろ日展以外の公募展も足を運んでみようか。
しかし出品点数が多く、書まで見切れなかったのが残念。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?