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〖詩〗 階段の鳩

鳩は
焦臭きなくさい階段に
うずくまっている
羽毛を辺りに散らし
弱りきっている

思い出すのは
あの夏の日
ただれた土地から
飛びたった日
空は青かった
きのこ雲の影 残しながらも
青くあろうと 踏ん張っていた

いま 鳩は
うずくまっている
こんなにも怯えて
脅しの応酬に
狂った空気の中
いまにも消えんと
瞬いている

ヒトはどうしたろう
作り上げた階段は
いまだ途中にもかかわらず
いつのまにか下ってゆく
煙のような ソトへの憎しみに巻かれ
ウチへウチへと こもってゆく

お下がりの武器で
奮い立つ人々よ
その対価は 誰の儲けになったというのだ
言葉の価値を
貶める人々よ
現実を信望するのではなく
未来を創ろうではないか
優しさなどいらぬ
他人のためでなく
福祉の心でもなく
ただ明日の自分のため
今を変えようではないか

なけなしの鳩を
守るため武器をもつ というが
鳩はますます
縮こまるばかりだ
そろそろ消えて
しまわんばかりだ

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