北欧デンマークの男性育児休業取得率は80%だが、、、日本との比較
こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。南デンマーク大学というところで、少子化を専門に研究しています。
毎週月曜日に少子化の現状をデータと研究知見を交えて紹介しています。
今週は前回に引き続き日本の育児休業について扱います。今回は北欧デンマークの男性育休事情と比較しながら、日本の現状を紹介します。
日本の育休について法律やデータを用いて解説した前回の記事はこちら👇
デンマークの制度¹⁾
産後休業(paternity leave)
育児休業(parental leave)
取得率と取得期間
取得率
2019年に育休取得が可能な男性のうち育休を取得したのは、
デンマーク:80%
日本:7.5%
取得期間
デンマーク:平均33.7日
日本:半分以上が13日以内
高学歴カップルほど父親の取得期間は長い
図1はデンマークにおける父親と母親の学歴別にみた、父親の平均育児休業取得日数を表しています。セルの色が白いほど育休期間が短く、赤いほど長いことを示します。セルの中の数字が平均取得日数です。
母親、父親の学歴ともに、高学歴なほど赤色で、父親の育休期間が長いことがわかります。
父親・母親ともに修士卒以上のカップルの父親は平均57日育休期間を取得しており、中卒同士のカップルの16日に比べて41日も多いです。
また、父親の同じ学歴でみても、母親の学歴が高い方が父親の平均取得日数が高いこともわかります。今回は父親の育休期間をみているので、母親の学歴が高いことより、本人の学歴が高いことの方が育休期間の長さに影響しているようです。
例えば、同じ(高卒・大卒)カップルでも、「母親:高卒、父親:大卒」(34日)の方が「母親:大卒、父親:高卒」(26.1日)よりも平均取得日数が長いです。
日本でも同様に、妻が正規雇用を継続している男性の育休取得率は高く、社会経済的地位の高いカップルはよりこうした制度を利用できているのかもしれません。
なぜ育休取得期間に不平等が生まれているのか?
デンマーク(あるいは北欧全体)は社会の不平等をなるべく減らすために、さまざまな社会福祉政策を行っています。
それなのになぜ、育休取得期間に不平等さが生まれているのでしょうか?
Rostgaard & Ejrnæs (2021)によると、低学歴層で男性の育休取得期間が短いのは、長い育休を取りづらくさせている会社や制度があるのではないか、と推察しています。
また、低学歴の人たちほど正しい育休制度の知識がない、などの理由もあるかもしれません。そもそも高学歴の男性のほうが育休を取りたい傾向にある、という可能性もありえます。
まとめ
デンマークは産後休業と育児休業があり、男性は最大36週間取得可能。しかし、32週間の育児休業は夫婦で共有するもの。
日本の男性育休は最大52週間で夫婦で共有ではなく父親に与えられている。
有期雇用者、自営業者、失業者も育休を取れる観点ではデンマークの方が優れているが、期間や育休中の援助額では日本の方が優れている。
デンマークの男性育休取得率は80%と日本に比べて(7.5%)と圧倒的に高い。
しかし、デンマークの男性の平均取得期間は33.7日と男女平等に取得しているわけではない。
不平等を解消しようと取り組んでいるデンマークでも、高学歴夫婦ほど育休取得期間が長く、不平等が存在する。
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以下図に使ったRコードです~
library(tidyverse)
library(ggrepel)
library(openxlsx)
Mycol <- c("#08306B", "#238B45", "#FD8D3C", "#D4B9DA", "#FFEDA0")
dnk_parleave <- data # please download data from https://www.statbank.dk/20040
dnk_parleave <- dnk_parleave[, -c(1:4)] %>%
rename(edu_m = X5) %>%
gather(key = edu_f, value = days, -edu_m)
dnk_parleave %>%
filter(edu_m != "All fathers, regardless of education",
edu_f != "All.mothers,.regardless.of.education") %>%
mutate(edu_m = case_when(edu_m == "Father lower secondary" ~ "中卒",
edu_m == "Father upper secondary" ~ "高卒",
edu_m == "Father short cycle tertiary" ~ "短大・専門卒",
edu_m == "Father bachelor" ~ "大卒",
edu_m == "Father master" ~ "修士卒"),
edu_f = case_when(edu_f == "Mother.lower.secondary" ~ "中卒",
edu_f == "Mother.upper.secondary" ~ "高卒",
edu_f == "Mother.short.cycle.tertirary" ~ "短大・専門卒",
edu_f == "Mother.bachelor" ~ "大卒",
edu_f == "Mother.master" ~ "修士卒"),
edu_m = factor(edu_m, levels = c("中卒", "高卒", "短大・専門卒",
"大卒", "修士卒")),
edu_f = factor(edu_f, levels = c("中卒", "高卒", "短大・専門卒",
"大卒", "修士卒")),
days = as.numeric(as.character(days))) %>%
ggplot(aes(x = edu_m, y = edu_f, fill = days, label = days)) +
geom_tile() +
geom_text(show_guide = F) +
scale_fill_gradient(low = "white", high = "red", name = "平均育児休業取得日数") +
labs(x = "父親", y = "母親",
caption = "データソース:デンマーク統計局. 作成者:茂木良平") +
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