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フランスvsスイス~問題だらけの前半と厚みのあるスイスのサイド攻撃~[ユーロ2020]

ユーロ2020の試合分析第5弾はフランス対スイスの一戦です。試合を見たのが遅くなったため今更感がありますが読んで下さると嬉しいです。🙇🏻

優勝候補No.1のフランスにとってまさかの結末となりました。L.エルナンデスとディニュの左SB2人が負傷離脱した影響もあってかフランスは今大会初めて3バックを採用しました。ですが、結果的に攻守において機能しませんでした。それでもベンゼマやポグバが個の能力の高さを見せつけ、一時は3ー1とリードしますが、終盤に2ゴールを奪われ同点にされます。延長戦では両チームともゴールを奪えずPK戦に突入。最後はフランスの5人目のキッカー、ムバッペが失敗して試合終了。スイスがジャイアントキリングを達成してベスト8進出を決めました。

この記事では攻守において機能しなかったフランスの3バックの問題点厚みのあるスイスのサイド攻撃について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

試合概要

メンバー

得点
フランス
 57'(1ー1)ベンゼマ
 59'(2ー1)ベンゼマ
 75'(3ー1)ポグバ
スイス
 15'(1ー0)セフェロビッチ
 81'(2ー3)セフェロビッチ
 90'(3ー3)ガヴラノヴィッチ

PK戦
スイス         フランス
 ⭕️ガヴラノヴィッチ   ⭕️ポグバ
 ⭕️シェアー       ⭕️ジルー
 ⭕️アカンジ       ⭕️テュラム
 ⭕️バルガス       ⭕️キンペンベ
 ⭕️メーメディ      ❌ムバッペ

1.左右非対称すぎたフランス

フランスの2トップ、ムバッペ(10)とベンゼマ(19)は左サイドに流れてプレーすることが多い選手です。また、この試合ではトップ下のグリーズマン(7)も左サイド寄りでプレーする場面が多く見られました。逆に右サイドには右WBのパヴァール(2)しかおらず、フランスは左右のバランスが悪くなっていました。

左サイドで攻撃が詰まった場合、一度バックパスで後ろに下げてから逆サイドにボールを展開し相手の守備ブロックをスライドさせてスペースを作り出すのが一般的なボールの動かし方です。ですが、この試合のフランスは、左サイドで攻撃が詰まって後ろに下げても、逆サイドに選手がいないためボールを展開できずに、左サイドにボールが戻ってきてしまう場面が何度も見られました。これではスイスの守備ブロックは動かされないため、スペースのない左サイドで常に攻撃することになります。

後半からコマンを投入し、グリーズマンを右SHにしてフォーメーションを4-4-2に変更したためこの問題点は解決しました。しかし、前半からグリーズマンを右WGにした3-4-3にすれば良かったのでは?と見ていて思ったフランスの攻撃でした。

2.守備ブロック5-3-2の謎

フランスは守備時にはグリーズマンが中盤に下がって5-3-2のブロックを作りました。しかし、これだとディフェンスライン3枚でビルドアップするスイスに対して、フランスは2トップのムバッペ(10)とベンゼマ(19)で守備をすることになるため3対2の数的不利となります。この試合ではスイスの左CBのR.ロドリゲス(13)がフランスの2トップの脇のスペースからボールを持ち運ぶ場面が多く見られました。

グリーズマンを右WGに上げてスイスのディフェンスライン3枚中盤2枚に対して、数的同数とすればここまで左右のCBにボールを持ち運ばれる場面は減らすことができたでしょう。

攻守においてグリーズマン右WGの3-4-3にした方が良いのではないか?と感じた前半でした。

3.厚みのあるスイスの左サイドとカンテのエグさ

2で解説したようにフランスの守備ブロックは中盤が3枚であるため、中央は厚くなりますが、その分サイドは薄くなります。スイスはこの守備の薄いサイドを的確に突いてきました。

特にスイスの左サイドからの攻撃が機能しました。スイスの左サイドの攻撃ではボランチのジャカ(10)がディフェンスラインまで降りることで左CBのR.ロドリゲスを高い位置に押し上げます。そうすることでフランスの右WBパヴァール(2)に対してR.ロドリゲスと左WBツバーで1対2を作り出しました。

フランスは右サイドで数的不利になると、同数にするため右CBのヴァラン(4)がサイドに引き出されます。そうするとヴァランと中CBラングレ(5)の間の距離が開き、スイスにニアゾーン(下の画像)を取られる場面が何度かありました。

上の画像のような理由でニアゾーンをとられるとピンチになりやすいですが、ここで存在感を発揮したのがボランチのカンテ(13)でした。ヴァランが引き出されてニアゾーンにスイスの選手が走り込んでいる時にはカンテがカバーリング範囲の広さを活かして防ぎました。ニアゾーンをとられる場面は少なくなかったですが、カンテのカバーリングもあり、ここから大きなピンチになる場面はありませんでした。

この試合のハイライトはこちらから↓

ベンゼマのトラップ変態すぎる

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