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FC東京vsジュビロ磐田~もう1つの課題~[Jリーグ第22節]

試合の前に移籍の話から。

浦和戦の翌日に高萩と永井の退団が発表された。変革を迎えている中、この2人とは別れの時が来るだろうとは思っていたけれど、このタイミングか、って感じです。

高萩は今季のリーグ戦はアウェイ磐田戦の45分のみ。アルベルさんの選手起用を見てると強度が低い選手はなかなか使われない印象。出場機会が無かったのはその辺りなのかなと。アンカーでの起用も見てみたかったけどね。

永井の方はほぼ全ての試合に出ていたし、メンバーを外れたのも恐らく浦和戦のみ。ただ本人はCFで勝負したいらしいく、クラブとしては戦力だったが本人の意思を尊重した感じかな。今のチーム状況や取り組んでいることを考えると永井をCFで起用するのは考えづらいし。

高萩さん永井さん、5年半ありがとうございました。新天地での活躍も期待しております。FC東京戦以外では。

ではここから試合の話。代表ウィーク前ラストはホームでのジュビロ磐田戦。

FC東京は前節浦和レッズ相手に完敗。ビルドアップの部分で完成度の差が出た試合だった。アンカーを消されながらSBやIHに誘導されてミスから失点。2CB+アンカーのビルドアップだとやはり今はまだ厳しいなと思い知らされた試合。

一方ジュビロ磐田の前節は神戸戦。4バックでスタートするもののDF間がかなり空いてしまい、そこをイニエスタなどに正確に通され、背後を取られまくった。30分ほどでいつもの5バックに戻すも結果的にPKの1失点で黒星。これで3連敗。3試合連続で無得点で現在最下位。

前回対戦は13節。保持はするものの崩せない。この頃はこんな感じの時期。結果的に終了間際の鹿沼の得点で黒星。今季はルヴァン杯でも対戦してるが、3試合で1分2敗の勝ちなし。

詳しい試合内容はこちらから ↓

試合概要

メンバー

・FC東京
安部が鳥栖戦以来4試合ぶりに怪我から復帰。前節負傷交代したディエゴはベンチ入り。あの転び方は完全に長期離脱かと思ったけど無事だったようで良かった。ベンチでは東廉太が初のメンバー入り。

・ジュビロ磐田
前節は4バックでスタートした磐田だが、今節はいつもの3バック。伊藤槙人が出場停止。更に鹿沼もメンバー外。ただ、突発性難聴と診断されていた大津が16節以来の復帰。ディエゴと同様早めに復帰できて良かったです。

(1)変則的なプレス

代表ウィーク明けでFC東京が最も苦労しているビルドアップ。前節の浦和戦では大きな差を見せつけられ、レビューでは3+2のビルドアップの方がいいのでは?とも書かせてもらった。しかし、この試合のビルドアップもいつも通りの2CB+アンカーの形。まあ変えないとは思ってたけど。

FC東京のビルドアップに対する磐田のプレスは少し変則的な形。CBの木本と森重、アンカーの東にはCFの大津、右シャドーの上原、CHの山本康裕の3枚で対応する。中央を抑えてFC東京のビルドアップをサイドに誘導。その先で左SBの佳史扶には右WBの鈴木が縦スライドで前に出てきてプレスをかける。

右サイドの守備はこれで良かったのだが問題は左サイドの方。中央でプレーする左WGの渡邊とは異なり右WGの紺野はサイドに張っている。そのため、右WBの小川はピン止めされている状態となり右SBの長友まで出てくることができなかった。

磐田が2CBとアンカーにあてる選手を変則的にした明確な意図は正直よくわからない。小川が紺野にピン止めされて出ていくことができないのを見越して、大森を後ろに残して安部と長友の両方を見ることができる役割にしたかったとかか。ただ、IHに加えてレアンドロも中盤に顔を出すため、そっちが気になって長友まで出ていけなかった感じかな。

木本に対して大津が外切りでプレスをかけることができれば良かったが、CFの大津はスタート位置が中央であるため、プレスは内切りになってしまった。なので紺野をRグラッサに受け渡して小川が出てくるのが一番スムーズかなと感じた磐田の守備。

あともう1つ。この試合のFC東京は片方のIHがアンカーと同じくらいの位置を取ることが多かった。このIHに遠藤がつくことでその背後にぽっかりとスペースができ、そこにIHやレアンドロが降りてきてパスを引き出して速攻へ繋げることができた。

(2)修正してもなお

14分までに2点をゲットしたFC東京。この2点目の直後に磐田は守備を修正。大津と大森の2トップ、上原と遠藤、山本康裕の3CHとなる5-3-2となった。

2CBとアンカーに対して大津、大森の2枚で対応することとなる。そのため、プレスのかけ方はアンカーへのパスコースを切る内切りプレス。FC東京のビルドアップをサイドに誘導する。

長友まで繋がった時、変わらず小川は紺野にピン止めされているため、左CHの山本康裕が出て行って対応する。ここの長友への守備をハッキリさせる修正だっただろう。

山本康裕がサイドまで守備に出ていくと左のハーフスペースのエリアが空いてくる。その場合は基本的には中盤がスライドして埋めることになるが、大ベテラン大レジェンドの遠藤保仁にそれを求めるのは酷だろう。特に5-3-2だと中盤3枚でスライドしなければならなくなり、より運動量が求められるようになる。

結果、山本康裕が出ていった左のハーフスペースを埋められず、安部に上手くパスを引き出される場面もちらほら。

2点目のあと、FC東京のペースが落ちたこともあってここから致命的な失点に繋がることはなかった。ただ2点目の勢いのまま来られたら3点目、4点目と取られた可能性もあっただろう。逆にFC東京としてはこのまま試合を決めてしまいたい流れではあった。

(3)狙い通りの守備

次にFC東京の守備、磐田のビルドアップの話。

磐田のビルドアップは右CBの山本義道がサイドに開いて3バックから4バックへと可変する。FC東京の3トップに対して数的優位を作り出して、4バック+2CHで前進を試みる。

対してFC東京は両WGの紺野と渡邊でCBに対して外切りプレス。これで外へのパスコースを封鎖する。そしてCHの遠藤と山本康裕にはIHの松木と安部が厳しくマークにつく。このCHを抑えることはかなり意識されていたようで。この部分について試合後のインタビューで松木が答えている。

Q、磐田の遠藤保仁選手とマッチアップする場面がありましたが、意識していたことはありますか。
A、試合前に、遠藤選手から攻撃がはじまるとスカウティングで聞いていたので、そこは僕と(安部)柊斗君がより厳しくいくことをイメージしていました。
Q、守備の局面で、遠藤選手のパスコースをふさいでいた印象です。
A、あそこからパスを出させなければ、攻撃は相手がイメージする方向性に進まないのではないかと思っていました。
https://www.fctokyo.co.jp/fanzone/fctokyofanzone/detail/276

磐田としてはCHを経由してWG裏を取ることができればよかったのだが、なかなかその形には至らなかった。2点目の場面はまさにFC東京のプレスが思い通りに機能した。

(8)前節と同じ

ハーフタイムで磐田は山本義道とジャーメインを交代。フォーメーションを4-4-2に変更する。

2トップのジャーメインと大津でアンカーを消しながらCBにプレス、または大津がアンカーのマークにつきジャーメインがCBにプレスをかける形。そこからサイドに誘導してSBにはSH、IHにはCHがついてプレスをはめていく感じの守備。

これは前節の浦和レッズと同じ守り方。これにより前半のように落ち着いてボールを保持して前進することができなくなってくる。上手くいっていた形としてはCBからWGにあててIHの運動量でひっくり返すというもの。後方から繋ぐというよりも速攻に近い攻めだったが、浦和戦ではあまり見られなかった形を作ることはできていた。

前半はFC東京のプレスを前に上手く前進できなかった磐田。後半はよりシンプルに長いボールでジャーメインを狙っていく。森重はこの長いボールの対応に苦労していた印象。やっぱり疲れもあるのかな。出ずっぱりだし。

FC東京も磐田も前半に比べて速攻に近い形が増えたため、後半はお互いに攻め合う展開。ただ、両チームとも得点は生まれずそのまま試合終了でFC東京が前半戦とルヴァン杯のリベンジ達成となった。

おわりに

2-0で勝利。最下位と苦しむ磐田に対してしっかりと勝ち切ったのは素直に良かったかな。

前半立ち上がりの守備は非常に良かった。被保持では磐田のCBやGKまでプレスをかけ、ボールを奪われた場面では即時奪回で自分たちが常に主導権を握りながら試合を進めることができていた。

ただ、この試合で気になったのは試合の進め方の部分。早い時間で2点を取った後に明らかにペースが落ちてしまった。ここはその流れのまま攻め立てて3点目、4点目と奪って試合を決めてほしいとは見ていて感じた部分。

逆に後半は磐田の戦い方に付き合ってお互いに攻め合うエネルギーを使う展開となった。2点リードしているわけだし、ここは落ち着いて自分たちでボールを保持して試合を落ち着かせてほしかった。それこそ前半の中盤以降のような省エネの感じで。

この試合の進め方の部分は普段からレアルマドリードも見て応援してる自分的にはまだまだだと感じてしまった。優勝するためには勝者のチームになる必要があるなと。

まあ口で言うのと実際にやるのでは全く違うし、その内できるようになッテくれるだろう。ビルドアップや試合の進め方など課題はたくさんあるが、1つづつ乗り越える必要がある。たとえ時間がかかっても。

試合結果
2022.7.17
FC東京 2-0 ジュビロ磐田
味の素スタジアム

【得点】
FC東京
 4' 木本恭生
 14' 渡邊凌磨

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