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浦和レッズvsサガン鳥栖~ビルドアップを詳しく学べる試合~[Jリーグ]

12年ぶりに浦和駒場スタジアムで行われたJリーグ第24節、8位浦和レッズ対3位サガン鳥栖の一戦は2-1で浦和レッズが勝利しました。

試合のペースを握ったのは鳥栖の方でした。ですが多くのチャンスを決めきれずに84分に浦和の新加入江坂にPKを決められて5試合ぶりの黒星となりました。これだからサッカーは面白いですね。

この記事では両チームのビルドアップの構造について解説していきます。ぜひ最後までご覧下さい!

試合概要

メンバー

得点
浦和レッズ
 36'(1ー0)明本 考浩
 84'(2ー1)江坂 任

サガン鳥栖
 45+1'(1ー1)山下 敬大

(1)アンカー脇を狙う浦和

鳥栖が前線からプレスをかける時には2トップに加えて左IHの仙頭も高い位置を取ります。浦和はこの仙頭の背後でアンカーの樋口の脇のスペースを狙いました。このスペースにはトップ下の江坂が中央から右にずれてポジションを取りました。

22分10秒の場面では2CB+GKの3枚でボールを回します。3枚で回すことで鳥栖の2トップでは枚数が足りなくなるため仙頭(44)を高い位置まで引き出しやすくなります。仙頭を引き出したところで江坂(33)が鳥栖のアンカー脇のスペースにずれて、そこに最終ラインからのロングパスで一気にボールを前進させました。

もう1つは7分50秒の場面です。ここでは仙頭はボールを持っているCBの岩波(4)に対して江坂への縦のパスコースを切っています。ですが、ボランチの平野(40)が岩波と斜めの立ち位置をとることでパスを受けて仙頭の背後の江坂まで繋げました。

このスペースが浦和のビルドアップの狙いでした。

(2)チーム全体が噛み合う鳥栖

ここからは鳥栖のビルドアップの解説ですが、その前に浦和のプレスの形を解説します。前提として鳥栖は左CBの大畑が高い位置を取り、残りの2CB+樋口と仙頭(+GK)でビルドアップを行います。この時、浦和の2トップの江坂と明本は基本的には樋口と仙頭を抑えます。2CBにプレスに行く時も必ずこの2人の位置を確認してパスコースを切ります。

またこの試合で多く見られたのが左SHの大久保が鳥栖の右CBにWBへのコースを切りながらプレスに行く場面です。右サイドでもこのような場面はありましたが、回数的には左サイドの方がかなり多かったと思います。その理由としては推測になりますが、鳥栖を浦和の右サイドに誘導する狙いがあったのではないか?と思います。左SBの西よりも右SBの酒井の方が地上戦空中戦共に強さがあるため、鳥栖をこちら側に誘導して勝負する狙いだったのかもしれません。実際この試合では左サイドでの1対1の場面はあまりありませんでした。

ではここから鳥栖のビルドアップの話に入ります。上でも書きましたが鳥栖は2CB+樋口と仙頭でビルドアップを行います。この時、樋口と仙頭は常に立ち位置を変えながらボールを受けるため浦和の2トップはピッタリとマークにつくことはできずにフリーで前を向くことができます。また、浦和の両SHはWBへの意識を向けているため中盤へのパスコースが開きやすくなります。

そして鳥栖はIHの白崎と内側に絞った左WBの中野とCFの位置から降りてくる小屋松の3人で中盤を構成して浦和のダブルボランチに対して3対2を作り出します。また、この3人は浦和のボランチの背後(ライン間)にポジションを取ります。背後を取ることでボランチ2人はボールと選手を同一視野に捉えられないためさらに縦パスを受けやすくなります。

また、ここでもう1つ重要なのがCFの山下の動きです。山下が常に浦和のディフェンスラインの背後を狙うことでCBをピン留めすることができます。前に出てしまうと背後にスペースができ、ロングパスで一気に背後を取られてしまうためCBは出て来れなくなるのです。この背後を狙う動きがあることでディフェンスラインが下がりライン間が広がって中盤の3人が前を向きやすくなります。

下の画像は2分30秒の場面です。ここでは左IHの仙頭(44)が右サイドまでポジションを変えて前向きでボールを持ちます。この時浦和のダブルボランチに対して白崎(13)小屋松(22)中野(7)で3対2を作ることができています。また、この3人は全員ライン間にポジションを取れています。そして最前線では山下(9)がディフェンスラインの背後を狙っているため、CBはピン留めされ縦パスを受けた小屋松に対して出ていけなくなっています。このように鳥栖のビルドアップはチーム全体の動きが噛み合って構成されています。

この試合のハイライトはこちらから↓

鳥栖いいチームだわ

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