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FC東京vsコンサドーレ札幌~今日は特別~[Jリーグ第20節]

J1第20節は3連戦の真ん中、ホームでのコンサドーレ札幌戦。もう20節か、早すぎ。

FC東京は代表ウィーク明け未だ勝ちなし。公式戦4試合連続で複数失点を喫している。前節はアビスパ福岡戦。前半は停滞、後半は目指しているものを一度忘れて2得点。引き分けに終わった。内容・結果も悩みもだが、怪我人続出が悩みどころ。人が足りない。

一方でコンサドーレ札幌。こちらも直近5試合で1勝4敗。今季は失点が止まらず33失点は全チーム最多。4失点以上の試合が5試合と取られだすと止まらない感じ。

前回対戦は9節。開幕からSBで起用されていた渡邊が札幌のマンマーク対策で初めてWGで起用された試合。それが今節にも繋がってくるわけで、、

詳しい試合内容はこちらから ↓

試合概要

メンバー

・FC東京
怪我人続出のFC東京は3人が初のメンバー入り。梶浦が初出場初スタメンで松木と高卒ルーキーIHコンビ。また、鈴木と品田が初のベンチ入り。青木が離脱したアンカーには東を起用。

・コンサドーレ札幌
退場で出場停止の菅野に代わり大谷がスタメン。興梠に代わり青木がトップ下で駒井とシャビエルの2トップ。前節からの変更点は2人のみ。真夏の連戦でもあまりメンバーは変えない感じ。

はじめに

この試合の前に少し前節アビスパ福岡戦の話。前半は福岡の4-4-2の守備ブロックに対してほとんど前進できず。福岡が良かったというよりもFC東京が良くなかったといった感じ。後半はカウンターを打ち合うようなオープンな展開で2得点。狙ってこの展開に持って行ったかは微妙なところだが、こちらの方がFC東京らしく、選手たちの特徴にも合っている。

そして今節の相手コンサドーレ札幌はボール保持をスタイルとするチーム。その相手に対して福岡戦の前半のようにボールを保持して今季の挑戦を続けるのか?それとも自分たちの得意な戦い方で勝ちにいくのか?

結果としてFC東京は一度自分たちの挑戦を忘れて、相手にボールを持たせる戦い方を選択した。つまりこの試合に勝ちに行った。ということで札幌のボール保持から。

(1)何のためのボール保持

札幌はボール保持時には3バックから4バックへと可変。CHの高嶺がディフェンスラインまで降りて、右CBの田中と左CBの福森がサイドに開く。田中、岡村、高嶺、福森の4枚で最終ライン。中盤はCHの荒野に加えて前線から駒井や青木が降りてきて縦パスを引き出しながら〜というのが札幌のビルドアップの形。

対してFC東京の守備ブロックは4-3-3。3トップの守備は札幌の最終ラインに強くプレスをかけて余裕を与えないというよりかは、しっかりとパスコースを切っておけばOKと言った感じ。WGのアダイウトンと紺野は外側のパスコースを切る。レアンドロもパスコースを切る意識はあったが、札幌は複数の選手がいろいろなエリアに顔を出してくるので流石に1人で切りきるのは無理だった。

中盤の松木、東、梶浦は降りていく青木や駒井にはついて行って前を向かせない守備。札幌としてはここで青木や駒井がターンしてひっくり返すことができれば当然良かったのだが、少ないタッチ数で後ろに戻すプレーがほとんど。そのため、札幌はボール保持自体は安定していたが、持っているだけで上手く前に運ぶことはできていなかった。

札幌が上手く使っていきたかったのが4バックに可変した時のSB。ここにパスが渡った時にはFC東京は中盤3枚でスライドして守る。

右SBになる田中にボールが入った時には松木が横にスライドして対応する。WGの金子がサイドに張っているため、佳史扶はピン止めされて前に出ることができなかった。と言うのもあるし、佳史扶を金子の対応に集中させたいというのもあっただろう。

左SBになる福森には基本は長友が出てきて対応。長友が出てくることができない時には梶浦が対応に行くって感じだった。右の金子と違い菅は福森に合わせて内側に入る場面も多かったので、長友が前に出てくることができた。

で、このSBを起点に前進できたのが5分50秒。この時はGKから左SBの位置に入っていた高嶺へ。菅がサイドに張って長友をピン止めしているため、梶浦が対応に。

左サイドにFC東京の中盤3枚をスライドさせてから中央の荒野へ。前線がレアンドロ、アダイウトンだとこのエリアのプレスバックの強度が弱いためノープレスでボールを持ち逆の右のハーフスペースの田中へ。紺野に比べてアダイウトンは戻ってこないためここもフリー。

このような感じでサイドに振りながら前進できれば良かったのだが、あまりこの形は作ることができなかった。GKの大谷からSBへという展開は何度もあったが、精度が低くそのままタッチラインを割ることが多かった。

また、左SBの福森にボールが入ることがあっても、そこから上の場面のような形はなく。それよりも逆サイドの金子への大きな展開を選択することが多かった。ただ、金子のところは佳史扶がかなり警戒していたし、松木もサポートにしっかりと戻っていた。そのため、この展開からチャンスのつなげることはできていなかった。

このように札幌は保持はできていたが、FC東京の中盤のラインを超えることができなかった。その理由としてはFC東京の中盤と3トップのラインの間で前向きを作ることができなかったから。誰がどうやって前向きを作るのかが定まっていなかったから。

降りてきた青木や駒井がターンできないのなら、例えばワンタッチで荒野に落として前向きというのもあったが、荒野は最終ラインまで下がってしまうことあった。特にFC東京を自陣まで押し下げた時にはいつも下がっていた。そうするとせっかく中盤で優位を取って縦パスを受けても結局最終ラインまで戻ってしまう。

このようにボール保持が前進するための保持ではなく、保持のための保持になってしまったの印象の札幌のビルドアップだった。

(2)ゼロトップレアンドロ

次にFC東京の攻撃。この試合のメンバーで注目なのがレアンドロのゼロトップ起用。5-1で大敗したアビスパ福岡戦以来、2試合目の起用法。

このレアンドロのゼロトップ起用の狙いは札幌のCBの岡村を引ずり出すこと。レアンドロは中盤、時にはアンカーの東の近くにまで降りてくる。札幌の守備はマンツーマンであるため、岡村は降りていくレアンドロについて行く。

岡村がレアンドロについて行ったことでできた裏のスペースに松木や紺野が走り込む。この入れ替わる動きで一気にゴールまで迫ろう!というのがこの試合のFC東京の攻撃だった。

特にFC東京が狙っていたのが左CBの福森のエリア。福森は他の選手と比べても強度が低くなる。走らせたら紺野よりもアダイウトンの方が強くて速いにもかかわらず、アダイウトンよりも紺野が背後に走る場面が多かったのはそのためだろう。

札幌としてもマンツーマンで守るのならば、もっと前線は強くプレスをかけなければならなかったと思う。ボールホルダーにあまりプレスがかかっていない状態で、最終ラインが降りていく選手について行ってしまっては簡単に背後を取られてしまう。

FC東京の狙い通りにいった場面が18分40秒。
ミドルサードで東がボールを持っている場面でレアンドロとアダイウトンが降りていく。札幌の守備はマンツーマンなので田中と岡村はついて行く。それによってできた背後のスペースに入れ替わるように松木が飛び出して行って東からのパスで一気にシュートまで繋げた。

ここではボールホルダーの東にはほとんどプレッシャーがかかっていない。それにもかかわらず田中と岡村は前に出ていったため、背後はがら空き。そして強度が最も低い福森がカバーしなければならなかった。

おわりに

3-0で3試合ぶり、代表ウィーク明け初勝利。

しかし、この試合で代表ウィーク明けのFC東京が苦しんでいたビルドアップが改善したわけではなかった。2CBとアンカーは相変わらず札幌のマンツーマンに捕まっていた。

これまでの試合では捕まっているところからSBやIHに誘導されて詰まらされる、蹴らされるという展開だった。一方この試合では蹴らされていたのではなく、能動的に蹴っていた。前線の入れ替わる動きでディフェンスラインの背後を取ってそこに蹴る!と言う狙い持っていたのでいつものように2CBとアンカーを抑えられても良い攻撃ができていた。

そのため、この試合で良い勝ち方をしたからと言って今後状態が上がってくるかは微妙な部分。ただ、サッカーには必ず相手チームがいる。勝つためには相手に合わせて戦い方を変えることも必要となる。

今節は自分たちが挑戦していることから一度目を瞑り、コンサドーレ札幌に勝つための戦い方を選択した。そしてしっかりと勝ち切った。そういう意味ではこの試合は特別な試合だった。

特別と言えばこの試合は声出し応援が解禁。自分も味スタに観戦に行きましたが、FC東京サポーターもコンサドーレ札幌サポーターも最高のチャントでした。このスタジアムの光景が1日でも特別ではなく普通になることを願って。

最後にFC東京の応援チームに言いたいのはエンリケコールしてほしかったなあって。ブラジルで治療に励んでいるエンリケにも声援を届けてほしかった。応援の事情は全く知りませんが次の声出し試合ではよければぜひやってほしいと思いました。

試合結果
2022.7.6
FC東京 3-0 コンサドーレ札幌
味の素スタジアム

【得点者】
 35' レアンドロ(PK)
 49' アダイウトン(PK)
 51' アダイウトン

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