アビスパ福岡×FC東京〜これが真の姿か〜[Jリーグ第4節]
さあ今年もやってきました九州。なんか福岡の地で24年間勝ってないらしいね。え?去年25周年やったのに?
メンバー
・アビスパ福岡
ここまで1勝2分で負けなしの福岡。前節からの変更は岩崎→金森のみ。新加入のイラン人、シャハブザヘディは早速ベンチ入り。
・FC東京
出場停止のエンリケに代わり木本が初スタメン。メンバー外のディエゴに代わり高が移籍後初出場で荒木のゼロトップシステム。A代表選出の長友とU23代表選出の佳史扶、松木、荒木はスタメン。野澤はベンチ入り。5人もいます。
制圧した中央レーン
試合はFC東京がボールを保持する展開でスタート。
福岡の被保持は5-2-3。ビルド隊から時間を奪いにくるよりかは前進コースを限定するためにプレスに出ていく設定。
CBの木本と森重にはウェリントンとシャドーの金森、紺野がプレス隊となり、中央を消しながら前進コースをサイドに制限する。シャドーがCBへ出たときにはWBがSBまで縦スライド、残りのバックラインが横にスライドしてマークを受け渡す。
対してFC東京はCHの高か小泉がバックラインに降りて後方3枚を形成して3-1保持。近い距離感でボールと人を動かしながら、小泉や高が中央レーンで1トップのウェリントンの管理外へ。縦パスで福岡の1列目を越えることのできる環境を作り出す。
中盤では松木や荒木、さらにSBの長友や佳史扶が内側に立ち位置を取って、CHの重見と前に対して数的優位。このとき、CHの斜め後ろに立つことで前進の出口となるポイントを複数作り出す。
図
後方4枚のままでビルドアップするとき、SBはサイドに張りすぎず、ペナ幅より少し開いたあたりに立ち位置を取る。これによってサイドに張るWG、サポートに入る中盤、CBやGKを使ってやり直しなど複数の選択肢を得る。サイドでバチバチにはまりまくるいつものFC東京の姿はそこにはなかった。
このときも出口を作り出すのは松木と荒木で、高や小泉のサポートが間に合わない、またマークにつかれているときは中盤でサポートに入る。また、WGに相手WBをピン止めさせて自分はサイドに流れて受けるなどいろいろなポジションに顔を出してボールを動かしていく。
この一連の流れでの良い前進が見られたのが4:00の場面。
切り抜き解説(4:00)
4:00。FC東京のビルドアップの場面。
高と小泉をウェリントンと重見で抑えて、森重に対して紺野がプレス。サイドに誘導して佳史扶のところで前嶋が出てはめにくる福岡。
このとき荒木が中盤のサポートに降りてくることで重見に対して局地的に数的優位。福岡のプレスの矢印を外す。荒木のサポートによりフリーになった高と小泉でウェリントンの管理外へとボールを運ぶ。
ウェリントンの管理外でボールを持った小泉。中盤では松木や荒木、長友が前と重見の斜め後ろに立って出口となるポイントを作成。小泉から縦パスを受けた松木から右サイドに張る仲川まで展開した。
ただ、縦パスを受けた松木はボールホルダー(小泉)に対して完全にヘソを向けていた。そのため、コントロールで一発で福岡の2列目を越えることができなかった。
このとき、ボールホルダーに対して斜めの身体の向き(ちょうど隣にいる荒木のような)で受けることができていれば、右足のコントロールで2列目を超えてよりゴールに近い選択肢を得ることができた。
この場面に関しては完全に縦関係でもらったパスなので斜めを作るのは難しいが。ここ以外でも松木は縦パスをもらうときにヘソが完全にボールホルダーを向いていることが多い。このあたりはまだ履修中ってことで。もっと要求したいところである。
敵陣まで前進したFC東京は左サイドを中心に福岡を押し込んでいく。高-小泉-佳史扶の関わりで紺野を超えてCHの脇から侵入。遠藤がタッチライン際で前嶋をピン止めし、ボールホルダーが右CBの井上に向かってドリブル。これにより、井上の矢印をホルダーへと向けさせ、その周辺から松木や荒木が絡み打開していく。
そしてその左サイドで押し込んだところからFC東京が先制。遠藤がペナ内で目線を集めてから大外でフリーの佳史扶へ。佳史扶の鋭いグラウンダークロスに合わせたのは長友。
1年ぶりに日本代表に復帰してすぐに14年ぶりにゴールを決めるのが長友佑都です。
地上から繋ぐだけでないのが今日のFC東京。福岡のバックラインが中盤に顔を出す選手を捕まえに出てきたら、ロングボールで一気にひっくり返す。そして2点目。
中央の仲川を捕まえに出ていった奈良の背後のスペースに遠藤がランニング。松木からのロングボールで一気にひっくり返し、走り込んだ荒木がゴールへ流し込んだ。
これで4試合4ゴール。荒木のゼロトップシステムのときは小柏にWGから斜めに走り込む役割をやって欲しかったが、遠藤がやってくれました。
2点差とした後、福岡がプルスの強度を高めたことでビルド隊が時間を奪われ、少しバタついたFC東京。だが、ほぼ完璧な内容結果で前半を終える。
まだ途上の段階
後半。福岡は井上と岩崎を交代。岩崎とウェリントンが2トップの4-4-2に変更する。
システムを変えた福岡。2トップが縦を消しながらCBへプレス。サイドに誘導した先でWGがはめにいく形でビルド隊から時間を奪いにいく。
2トップとなったことで、CF周辺で優位を作ることができなくなったFC東京。なかなか前半のように1列目を超えることができない。
保持では長友の背後へと流れていく岩崎へシンプルにボールを送ることで深さを取る福岡。マイナスへ送り遅れて入ってきた前がミドルシュートを見せたり、ウェリントンがゴール前で強さを見せる形でゴールへと迫る。
それでも3点目を掴んだのはFC東京。波多野からのロングボールを松木が競り合い、セカンドを高が回収。サイドを駆け上がった長友のクロスがファーに流れて佳史扶が無人のゴールに叩き込む。
長友からのお返しアシスト。システムを変えた福岡が流れを掴んだ後半。だが、その流れに関係なくゴールを決めてくる謎の理不尽さを装備している今季のFC東京である。
3点ビハインドとなった福岡はザヘディと鶴野を投入。ザヘディはけっこう背後狙ったり、サイドに流れたりしてたけど、見た目の割にそういう系の選手なのでしょうか。
2トップを総とっかえして圧を強める福岡の前になかなか地上から繋いでいくことができないFC東京。前節までのような前線2人に無理めのボールを入れる場面が増えていく。
相手が圧を強めたり、後半になり身体も頭も疲れてくると前半できていた保持ができなくなる。これはアルベルトーキョーのときもけっこうあった現象。このあたりはまだ発展途上チーム。
試合が進むとともに押し込む時間が増えていく福岡。紺野と岩崎が両サイドからクロスを放り込んでくる。ただ、シンプルな放り込みには問題なく対応できるのが今季のFC東京。CBが跳ね返しながら、空いた穴はCHが埋める。そして波多野のハイボール処理は超安定。
前節まではCHがペナ内を埋めたことでバイタルがスカスカになる問題が発生していたFC東京。
だが、この試合では荒木と松木が戻ってきて埋めることでマイナス方向もしっかりとケア。じゃあ全体を下げた中でどうカウンターに持って行きますか?という問いへの答えは見えなかったが。
1つ解決すれば、別の問いが出てくるのもサッカーのおもしろさである。
88分に福岡が1点を返す。紺野のクロスに大外で余った岩崎が折り返し。ザヘディが頑張って松岡が押し込んだ。
なんか野生的な風貌になったな松岡。
試合のクローズに向かう中でWGが俵積田とジャジャなのはどうなんだい?最初から安斎で良かったんじゃねえのかいって感じだが、これがピータークオリティなので。そもそもベンチ枠が少ねえのよ。
なんとかリードを守り切ったFC東京。今季初勝利です。
おわりに
今季初勝利。1勝2分1敗の定位置10位で最初の代表ウィークへ。C大阪、広島、神戸、福岡の4戦と考えれば悪くはない。それだけにこの勝ちはデカい。
最初の3試合はなんだったのか?ってほどの変わりっぷりだったがまだ課題は多い。相手がビルド隊から時間を奪いにきても繋げるのか?90分間質を維持できるのか?など。
代表ウィーク明けは川崎、浦和、鹿島の3連戦。そして緑戦。厳しいカードが続くが、ここはまだ発展途上チームなので少しずつ高めて行きましょう。
代表組のみんなはいってらっしゃい。怪我すんなよ。
試合結果
2024.3.16
アビスパ福岡 1-3 FC東京
ベスト電器スタジアム
【得点者】
アビスパ福岡
88' 松岡大起
FC東京
28' 長友佑都
32' 荒木遼太郎
57' バングーナガンデ佳史扶
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