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FC東京vs町田ゼルビア~演出された舞台の主役は~[Jリーグ第9節]

ホーム4連戦の締めは町田ゼルビアと初顔合わせ。仲良く東京ダービーしようか。

メンバー

・FC東京
出場停止の安斎に代わり遠藤が右WG、佐藤が初のメンバー入り。土肥、小泉、遠藤がルヴァン杯から継続。小泉アニキに休みはなかった、、。

・町田ゼルビア
藤尾と平河が代表召集で不在。望月、宇野、高橋が初のスタメン。チャンミンギュが初の欠場で昌子が今季2回目のスタート。ナサンホ久しぶり。

主役を引き立てる2人

あまり見覚えのない主審の笛でキックオフ。試合はFC東京が保持する展開で進んでいく。

町田の被保持はCFとWGがプレス隊となる4-2-4のような形。ナサンホとオセフンのCFはCHを、高橋と藤本のWGはSBを背中で消しながらFC東京のビルド隊へと向かっていく。

対してFC東京はCBとCHの4枚のビルド隊に仲川が降りてきて加わり、中央を4+1で前進を試みる。

右サイドではSBの白井が大外に張る役割。CBの土肥までWGの藤本のプレスを呼び込み、白井が背中を取る。このとき、SBの林は遠藤のマークを受け渡すことはなくピン止めされている状態。よって町田の左の縦関係はプレスが連動していない。土肥→白井のパスで前進が可能になった。

35:50

しかし、右サイドでFC東京が完全に上手を取っていたわけではない。白井は藤本を超えている、超えていないに関わらず、常にサイドに張っている立ち位置。そのため、藤本を超えているときは土肥からのパスを大外で受けて前進できたが、(上の図のように)超えていないときはサイドではまってしまう。

7:10

藤本を超えていないときは少し立ち位置を内側に絞り、中央と大外の選択肢を作るなどの微調整を加えることができれば、より右の保持で優位に立てたはず。この辺りの仕込みはまだまだ。

WGを超えていないときは、、、

一方の左サイドではWGの俵積田が大外、佳史扶が内側の関係。そしてこの試合では俵積田が町田を切り裂いていく。

俵積田はWGの高橋を常に超えた立ち位置。そのため、対面するのはSBの望月となる。この俵積田vs望月の1on1をより有利にしていたのが、佳史扶と小柏。

佳史扶と小柏は俵積田にボールが出たタイミングでハーフスペースからSB裏にランニング。これにより、望月が潰しに出る出足が遅れ、俵積田はしっかり前を向いた状態で1対1の勝負ができる環境を与えられた。

また、俵積田本人も受ける前に背後を狙う動きを入れて望月の矢印を止めることで勝負ができる環境を自らも作り出す。開幕のセレッソ大阪戦ではこれができずに毎熊に潰され、交代で出てきたジャジャがこの動きから同点ゴールを演出した。試合を重ねることで俵積田も着実にレベルアップしている。

話を戻して。佳史扶と小柏がハーフスペースからディフェンスラインの背後を狙うことで、CBのドレシェヴィッチをサイドに引きつける。これにより中央で昌子の管理するエリアが広がる形に。

そして、縦を切る望月に対して俵積田は内側へとカットイン。中央に斜めのパスを通し、仲川や小柏が昌子周辺から攻略を図る。

切り抜き解説(5:10)

5:10。中盤で奪ってカウンターの場面。

内側の佳史扶から大外の俵積田へ送る。このタイミングで小柏が中央からSB裏へとランニング。望月の出足を遅らせるとともに、ドレシェヴィッチをサイドへと引き連れる。

望月と余裕を持って対面した俵積田は内側へと切り込んで中央の仲川へ。ドレシェヴィッチがサイドに出ていったことで管理エリアが広がった昌子は仲川に寄せ切れない。仲川からのパスで小柏が抜け出してGKとの1対1を作り出した。

この場面、サイドから中央へとボールを動かしたことで、ドレシェヴィッチの目線を揺さぶったこともポイント。これにより小柏はドレシェヴィッチの視野から消えて、マークから外れることができた。良い崩しです。

5:10

試合を優位に進めていたFC東京だったが、14分に失点。CKからファーサイドのナサンホがボレーで合わせた。

喜ばないナサンホ。

先制を許したFC東京だったが7分後にすぐに追いつく。スローインから高が高橋の背中に現れてサイドを脱出。消されていたところからスッと現れて出口を作る高。何気ないプレーだが、めっちゃ勉強になる。

サイドを脱出したところから中央へと突撃。ごちゃごちゃっとなってドレシェヴィッチのハンドを誘いPK獲得。小柏が決めてリーグ戦初ゴール。

ギリギリ。

繋がれない仲川

町田が初めて自陣低い位置からのビルドアップをみせたのが23分。そして、その最初のビルドアップから町田が勝ち越し点を決める。

FC東京の被保持は4-4-2。対して町田はCBがペナ幅に開きGKともに後方3枚で保持。仲川がGKの谷へとプレスに出ていく。しかし、どこのパスコースを切れておらず、谷はなんの問題もなくドレシェヴィッチへ送り回避。

そして仲川のプレスに俵積田はついてきていないため、ドレシェヴィッチはドリブルで運んで前進。運ぶ間に高い位置へと駆け上がった望月へとロングボール。ラインギリギリのところでゴール前へと折り返し、ニアでオセフンが合わせた。

最後のところで緩めたエンリケやマークにつき切れなかった土肥が槍玉に挙げられるが、この場面で問題だったのは1人だけ矢印のずれたプレスに出ていった仲川。そしていまだにプレスの形を仕込めていないチーム全体である。


1点ビハインドで前半終了。町田はハーフタイムで高橋をバスケスバイロンを交代。

後半の町田は全体のプレスラインを前半よりも下げてCBには持たせる設定で構える。そして右WGのバスケスバイロンは大外に立ち位置。

こうなったときに困ったのがエンリケ。前半何度も開通していたエンリケ→大外の俵積田へのパスをバスケスバイロンに塞がれ、WGのラインを超えることができない。

エンリケか佳史扶が2トップ脇からバスケスバイロンを引き付けて、俵積田にボールを渡したい。しかし、佳史扶は大外でバスケスバイロンの前を取っているためプレスがはまり、エンリケは2トップ脇から運ぶことができない。

また、エンリケはドリブルで運んで上手く相手の2トップを引き付けることができても3人目を見ることができないため、中央から進むこともできず。前線への可能性が低い選択を取り続ける。

49:30

また、中盤では仲川が降りてきて顔を出し、町田の2CHに対して数的優位を作りながらビルド隊からボールをピックアップしていく。しかし、上手く引き出せても仲川と小泉-高が繋がらない。

55:40の場面ではエンリケから仲川が降りてきてボールを受ける。中盤では町田の2CHに対して仲川-高-小泉で数的優位。ボールを受けた仲川と小泉と高が繋がることができれば中央からの前進が見えたが、結果はエンリケまで戻ってしまった。

55:40

町田のプレスもゆるゆるだったため中盤では3人目まで繋がらず。さらに俵積田まで届けることができず。徐々にFC東京の攻撃はトーンダウンしていく。

FC東京は負傷の小柏に代わりジャジャシルバを、俵積田と高に代わり佐藤と原川を投入。小柏、良いプレーしてたのに、、さすがにスぺすぎて。

J1デビューとなった佐藤は最前線に入り、SB裏に走り込むなど小柏役。仲川が変わらず動き回ってボールをピックアップしていたが、2人の役割はこれでいいのでしょうか?逆じゃねえか?

主役が降りた舞台では歓喜の瞬間を演出できなかったFC東京。町田との初対面は勝ちをつかみ取る強さの差を見せられる結果となった。

おわりに

前半は普通に良い試合を展開したFC東京。荒木、松木がいない中で俵積田が主役となり、周りは輝く舞台を演出した。

しかし、後半は停滞。選手1人1人は頑張るが、それぞれの頑張りが繋がらない。単騎で相手の質を上回った俵積田が何とかしてくれるのを待つのみ。それじゃあ強いチームにはなれねえよと。

試合結果
2024.4.21
FC東京 1-2 FC町田ゼルビア
味の素スタジアム

【得点者】
FC東京
 21' 小柏剛

FC町田ゼルビア
 14' ナサンホ
 25' オセフン

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