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天気図の世界

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天気図に関する話題を取り上げ、Pythonを利用した天気図の作成方法についても紹介します。気象にある程度知識があり、事例解析などに興味がある方や、天気図を作成したい方々を対象とし…
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2021年12月の記事一覧

アメダス降雪用監視帳票やランキング出力

アメダス降雪用監視帳票やランキング出力

天気図の話題ではありませんが、実況監視に関する話題です。降雪の可能性がある条件に合致する観測データのテキスト出力や、アメダス観測のランキング出力のコードの紹介です。アメダスによる気象の実況監視をリアルタイムで行いたい方の参考になればと思って記事にします。

今回のコード作成と記事掲載のきっかけとなった気象現象は、2021年12月26日夜に伊豆大島で強い冬型の気圧配置により積雪したことでした。アメダ

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アメダス気象観測データの時系列図

アメダス気象観測データの時系列図

今回は、アメダス気象観測データの時系列図について、この図の有用性とコードの紹介になります。データは気象庁HPから取得しCSV形式のファイルを利用します。コードはpythonで記述し、matplotlibを利用しています。最後に、サンプルコードを掲載しています。ご利用ください。

気象観測データ時系列図の有用性大気の構造を把握する上、地上の観測点がまばらである地域では面的に大気の状態を捉えるのは困難

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速報:アメリカの竜巻事例におけるGSM初期値の天気図

速報:アメリカの竜巻事例におけるGSM初期値の天気図

竜巻が、2021年12月10日夜から11日にかけてアメリカ南部や中西部の6つの州で発生して、広範囲で竜巻の被害が相次ぎました。歴史上最大規模の竜巻被害の一つとなり、ケンタッキー州メイフィールドで最も大きな被害があったと報道されています。現象としては、スーパーセルによって複数の竜巻が次々に生み出されたとの見解が示されています。

フックエコーのレーダー画像も報道されるなど、スーパーセルに関するメソス

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昭和39年7月山陰北陸豪雨(3)

昭和39年7月山陰北陸豪雨(3)

850hPa面のQベクトルの収束・発散総観規模擾乱による上昇気流の励起を確認するために、850hPa面のQベクトルの収束の天気図を作成しました(下図)。赤のシェードがQベクトルの収束域で上昇流が励起されるエリアと推定できます。

図の実線は等高度線を示しています。850hPa面の低気圧(地上の低気圧Aと対応)が北緯43度付近の大陸から日本海北部を東進し、北日本を通過しています。17日9時から18日

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700hPa面湿数、500hPa面気温の天気図(2)

700hPa面湿数、500hPa面気温の天気図(2)

500hPa面の気温について現象に伴う特徴的な500hPa面の気温の分布には、主に次のようなものがあるでしょう。
・トラフに伴うサーマルトラフ
・発達した低気圧の前面のサーマルリッジ
・気団の縁や前線帯に伴う等温度線集中帯
・熱帯低気圧や台風の暖気核
・寒冷渦などの寒気コア
・太平洋高気圧に伴う暖かい領域

500hPa面気温場の把握対象としては、上記の項目に加えて、解説で利用される大雪の目安とな

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2021年11月19日宗谷地方で発生した暴風の一要因について(仮説)

2021年11月19日宗谷地方で発生した暴風の一要因について(仮説)

速報として記事にした2021年11月19日の宗谷地方暴風事例について、高層観測や数値予報初期値について調べて、暴風の要因(仮説)について考察しました。気象現象について、その発生要因やメカニズムをいろいろ考えるのは楽しいものです。

私の考察に誤りや不十分な点があることも考えられます。FaceBookの私宛にご意見をいただけると、とてもありがたく思います。

暴風の一要因(仮説)最初に、この事例にお

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700hPa面湿数、500hPa面気温の天気図(1)

700hPa面湿数、500hPa面気温の天気図(1)

気象庁ホームページで公開されている、気象庁数値予報天気図には伝統的な主な予想天気図が5種類あります。
 ① 500hPa面高度・渦度の天気図
 ② 700hPa面湿数と500hPa面気温の天気図
 ③ 850hPa面気温・風と700hPa面鉛直流の天気図
 ④ 850hPa面相当温位・風の天気図
 ⑤ 地上気圧・風と降水量の天気図
それぞれの例を図1に示します。今回は、700hPa面湿数と500h

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