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植木まみすけ(漫画,文章,詩)
2019年2月28日 07:55
****星語《ホシガタ》掌編集*12葉目(4352字/読み切り)****空は夜でもなく昼でもなく、なんというか“灰”だった。遠くの方で、ゴゴ…と不穏な音が響く。西の空だけがまるで大きな蛍光灯を消し忘れたような、うるうると不気味な白さのまま、ずっと沈みもせず、満ちもせず、欠けもせず、ただ往来のわたしたち、虚無、空っぽの横顔を薄暗く照らしていた。───買い出し用のリュック
2018年6月30日 22:04
****星語《ホシガタ》掌編集*10葉目(4000字/読み切り)****「ミカちん❤️行ってきます」犬ころ──わたしの長年連れ添った腐れ縁の彼氏──が寝てるわたしのおでこやらほっぺたにチューしまくって、起こさないように出て行ったのは覚えてる。バイトが休みの朝。起きると、今日から梅雨明けだというのにやたらとひんやりしてて…部屋の壁が…?なにこれ。オフホワイトで、ざらりとめく
2018年4月20日 02:45
****星語《ホシガタ》掌編集*5葉目(2930字/読み切り)****────ここはどこだ?気づくと”わたし”は、ところどころステンドグラスがはまった、昭和感ただよう細工窓の向こう、キーコーヒーの看板。飲めもしないレモネードがテーブルに乗った狭い喫茶店で、ipadではなく、何故か原稿用紙に向かい、万年筆で小説を書いていた。やたらと雰囲気満点な、この原稿用紙とレモネードの小
2018年2月27日 19:39
****星語《ホシガタ》掌編集*4葉目(950字/読み切り)****わたしは草ボウボウの石畳、曲がりくねった路地のそのまた小径を急いでいた。(”開始時間”はいつだったっけ…)わたしは故郷での演奏会で出演しなくてはならなかった。足を速めるたび、からからと乾いた音が大きな黒い鞄から響いた。そういえばわたしは何の楽器を演奏するんだっけ…。顔がない子どもが通せんぼしてこう