見出し画像

童話ー人が集うベーカリーー

ここは、焼きたてのパンを売っている美味しいパン屋さん「ベーカリーアーク」。
当店自慢の素材は雲の綿。パンの生地に混ぜたら、あら不思議。ふわふわでぽかぽかでもこもこしたパンになりました。
お客さんは朝から長蛇の列です。
開店を今か今かと首を長くして待っています。
ふまふまとお客さんは待っています。
ピーピロピロピロピーと回転のベルが鳴り響くと、パッと目を見開き店の戸口に駆け寄ります。あっというまに店内はお客さんでひしめいていっぱいです。
我先にと御目当てのパンに向かって突き進むのです。
それはあたかも入れ食いをする鯉のよう。てんやわんやの大騒ぎ。

あっという間にパンは売り切れてしまいました。
完売御礼。
またご贔屓に。

ドアを閉めると完売の札がドアに掛けられました。
すると急いで駆けつけるお客さんがいました。
今日のパンはもうないんですか?
ごめんなさいね、今日は全て売り切れてしまったんですよ。
あー今日も買いそびれてしまった。いつになったら買えるんだろう。
そしたらあなたの分を一つ避けておきますよ。
それはありがたい!
お客さんは大喜びです。

次の日にもたくさんのお客さんで完売に。
でも、昨日のお客さんの分はとっておいてあります。後から急いで来たお客さんにそれを渡しました。
それを見ていた他のお客さんが、私も私もと駆け寄ります。
考えた末に、今度は売り切れて買えないお客さんのために、30分ごとにパンの数を分けて並べることにしました。
初めはもう売り切れてしまったと残念がっていたお客さんもまた並べられているのを見て店内に戻ってきました。
そのうち、次のパンを買うために店内に残るお客さんでいっぱいになりました。

これは参った!ここまでパンを気に入ってもらえるとはありがたい。

今度はパンを作る人数を増やしてパンの数を増やしました。
さらにパンの教室を開き、みんなで美味しいパンを作り、口いっぱいに頬張るのでした。

お腹も心も満たされて、めでたしめでたし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?