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#読書
『巨匠とマルガリータ』ミハイル・ブルガーコフ 感想
こんにちは。RIYOです。
今回の作品はこちらです。
ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』です。
近代ロシア文学の「奇書」とされる作品です。ブルガーコフはウクライナ出身の劇作家であり小説家です。同じウクライナ出身のゴーゴリと比べられる事もある、近代ロシア文学に欠かすことの出来ない作家です。
彼の作家人生はスターリン体制の隆盛と重なった時期でした。国政非難を含む作品群は特別検閲を受け、悉
『青い脂』ウラジーミル・ソローキン 感想
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ロシアのモダン作家ウラジーミル・ソローキンの『青い脂』です。第三回Twitter文学賞海外部門第一位を受賞しています。
近未来から過去を舞台としたサイエンスフィクション作品です。作品の中でも外でも「文学実験」が行われています。現在では日本において「コーヒー」や「スポーツ」など、当たり前のように英語が日常で使われていると思います。本作品の世界
『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス 感想
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1930年に世界恐慌の煽りを受けたコロンビア経済の安定を図るため、貧困に苦しむ労働者の支持により自由党が政権を握りました。コロンビア・ペルー戦争を経て、土地の改革を行った自由党は政権継続と思われましたが、政治の失策により保守党へと政権を移します。
1946年に保守党政権が誕生しますが、ここからコロンビアはLa Violencia(暴力)の時代
『白痴』フョードル・ドストエフスキー 感想
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フョードル・ドストエフスキー『白痴』です。この作品は「真に美しい肯定的な人間を描く」ことを動機に書かれたものです。ドストエフスキーの作品中、もっとも小説的で、物語的で読みやすいとされています。実際、以前感想を書いた『罪と罰』より、思想の論調はおとなしく、登場人物も詳細に心を描かれていたように感じました。
また、この『白痴』は上流社会を舞台に描
『未來のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン 感想
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ヴィリエ・ド・リラダン『未來のイヴ』です。この作品は1886年に発表されました。「アンドロイド」という言葉が世に向け初めて用いられた作品です。リラダンは名門貴族の末裔でありながら、生涯赤貧で過ごしました。父親の野心による資産崩壊の煽りを受け、没落貴族の底の底に陥ります。家財道具は全て強制執行官に運び出され、生活もままならない中、この作品を家具
『赤い花・信号/他』フセーヴォロト・ガルシン 感想
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ロシアにおいて絶対的な善を抱き、社会に苦悩し、短い生涯を終えたフセーヴォロト・ガルシンの代表作『赤い花』です。他に5篇が収録されており、この旺文社文庫には『ナジェジュダ・ニコラーエヴナ』という彼の作品で最も長い中篇が収められています。
ガルシンは1855年に祖母の領地である現ウクライナの土地で生まれ、貴族の家柄で育ちました。祖父は当時の典型
『密林の語り部』マリオ・バルガス=リョサ 感想
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ラテンアメリカ文学を牽引し続けるペルー出身のマリオ・バルガス=リョサ。民話と現実を行き来する文体で魂の在り方を訴える大作『密林の語り部』です。
バルガス=リョサは1936年、ペルーの南端アレキーパにて生まれましたが、両親の離婚により幼少期はボリビアの祖父母の元で暮らします。しかし10歳になるとペルーに舞い戻り、学生生活を過ごします。ジャーナ
『C神父』(蠱惑の夜)ジョルジュ・バタイユ 感想
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1880年よりフランス第三共和政ではジュール・フェリーによる教育制度の改革が行われました。政府は教育において宗教的中立を保たねばならないという思想のもと、初等教育の「無償・義務・世俗化」を図ります。政府は信仰、信教の自由を保ち、公平な立場であるべきだとする主張でした。これにより国家における宗教予算(主にカトリック)が廃止され、ローマ教皇の怒り
『悪魔の恋』ジャック・カゾット 感想
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フランス初の幻想小説作家として名高いジャック・カゾットの『悪魔の恋』です。本書はホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂の「バベルの図書館 19」で、序文を添えています。
カゾットは1720年頃にフランスのディジョンで生まれました。彼は神と教皇へ従うジェズイット教団(イエズス会)で教育を受けます。彼は自身を「黙想の愛好家」と称し、空想や幻想を愛します。