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名刺がわりの小説10選

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「名刺がわりの小説10選」の感想記事をまとめたページです。気になる作品を選んで読んでみてください。
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2022年12月の記事一覧

『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス 感想

『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス 感想

こんにちは。RIYOです。
今回はこちらの作品です。

1930年に世界恐慌の煽りを受けたコロンビア経済の安定を図るため、貧困に苦しむ労働者の支持により自由党が政権を握りました。コロンビア・ペルー戦争を経て、土地の改革を行った自由党は政権継続と思われましたが、政治の失策により保守党へと政権を移します。
1946年に保守党政権が誕生しますが、ここからコロンビアはLa Violencia(暴力)の時代

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『死霊』埴谷雄高 感想

『死霊』埴谷雄高 感想

こんにちは。RIYOです。
今回はこちらの作品です。

1895年、日本は日清戦争が終結し台湾の統治権を得ました。以後の約五十年間、日本の植民地として扱われました。日本の統治を阻む台湾住民は五年のあいだ抗います。そして一万人以上の現地人が虐殺されました。埴谷雄高(1909-1997)はこの台湾で生まれ育ちます。家庭内で穏和な親が現地の人間に向ける蔑視に不快と矛盾を感じながら過ごします。

「日本人

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『C神父』(蠱惑の夜)ジョルジュ・バタイユ 感想

『C神父』(蠱惑の夜)ジョルジュ・バタイユ 感想

こんにちは。RIYOです。
今回の作品はこちらです。

1880年よりフランス第三共和政ではジュール・フェリーによる教育制度の改革が行われました。政府は教育において宗教的中立を保たねばならないという思想のもと、初等教育の「無償・義務・世俗化」を図ります。政府は信仰、信教の自由を保ち、公平な立場であるべきだとする主張でした。これにより国家における宗教予算(主にカトリック)が廃止され、ローマ教皇の怒り

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