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「教育を受けられなかった」ということ

ネパール、特に山間部の郊外の方では、今だに「女の子は学校に行かなくていい」という慣習が残る地域があるそうです。
首都カトマンズやその近郊、若い世代の世代交代などで年々その慣習は薄くなってはいるようですが、海外へ出稼ぎに行ける可能性がある男児に比べて教育を受けさせる優先順位が低い、という感覚は、なかなか拭えるものではありません。

女性は親が決めた相手と結婚するのが全て。
ならば家事をさせよう、と家のことだけをしてきたような女性たちが、今、工房でフェルトマスコットを作っています。  
(あ、恋愛結婚ももちろんあります!)

当たり前のように教育を受けてきた私たちは「教育を受けられなかった」ことへの理解が足りていませんでした。
そして、「教育格差」というものを身をもって知ることになったのです。

私達は羊毛フェルトを使ったマスコット作りのトレーニングの段階で、安定した品質になるように人形の作り方を書いた指示書やチェックシートを用意するようにしました。

ですが、大半のお母さんは字が読めません。

パーツの間隔は●センチに、と伝えても、距離の概念がないため、理解ができない。

また、あるお母さんは、トレーニングの為に外出する事を家族から咎められ、練習時間を充分に取ることができない状況があることもわかってきました。

今、工房に残ったお母さん達は、数々の困難の中でも「絶対にこのチャンスを掴みたいんだ」「この仕事を大切にしたいんだ」と未来を切り拓こうとし、時に涙し、時に同じ想いを抱えた仲間と支えあいながら、日々技術を磨いています。

手のひらから、針と糸だけで生まれる、小さな人形。その人形には、様々な思いが込められているのです。それが、自分の人生を変える、ひいては子どもたちの未来を変える、と、信じて、今日もひと針を刺しているのです。

完成したフェルトマスコット

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