毎朝手を繋いで通勤する中年夫婦(レスられ妻の視点から)

※前提 :私は長年、夫とのセックスレスで悩み続けていた女です。
それを踏まえてお読みくださいますようお願い申し上げます。

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毎朝手を繋いで通勤している中年夫婦に会う。
彼らを初めて見たのは、約4年前。
子供達と保育園に向かう朝の事だった。
正直、「気色悪い」と思った。
遠目にもパサついた髪の女と、禿げ頭の男の40代後半~50代前半と思しき夫婦(もしくはカップル)。
気持ち悪い、子供に見せたくない、という私の思いとは裏腹に、
それから1年間、遭遇するたびに例外なく、
彼らは手を繋いでいた。

その後私たちの登園時間や経路が変わり、彼らに出会うことはなくなった。

あれから3年が経った今年、また4年前と同じ時間帯・同じ経路で登園することになった。

例の夫婦、出現!!!!!!
今でも手、繋いでる!!!!

でも私の心境が変わっていた。
もう、気持ち悪いと思わなくなっていた。
むしろ、将来あんな風に誰の目を気にするでなく
大好きな人と手を繋ぐことが普通になっている人間に私もなりたいと思っている。

そういえば思い出した。
結婚してからずっと、夫に対して抱いていた気持ち。

―――
会話も少なく、夫婦の時間がほぼ無い事に不満と悲しみを募らせていた頃。
夫に、「将来の夢とか、どんな風に老後を過ごしたいとかある?」と聞いた。
「えー、特にないけど。船で世界一周とかしてみたい」と夫は答えた。

不思議だった。
なぜ20代の今の私達のこの関係を大事にしないで、
老後の私達が仲良く暮らしていると思えるのだろうと。
今の連続が、未来を作っていくわけで。

年功序列で、ただ月日が過ぎれば
役職が順次与えられていく会社のようなことを想像しているのでしょうか。
古いです。そんな会社古いです。
そして昔の夫婦もそうだったかもしれません。
仕事一筋の不愛想な夫に日々妻として尽くし、
晩年には阿吽の呼吸が出来上がっている。
古いです。そんな夫婦関係古いです。
今その目の前の仕事、その目の前の相手に真剣に向き合った結果
収入の増加に繋がっていくんです、絆が深まっていくんです。

今をないがしろにしてどうやって望む未来を手に入れよう。

ーーー

あの中年カップル。
4年前の私も本当は憧れていたんだと思う。
羨ましかったのだ。
私にはなくて、あの人たちは持っているから。
私にはなれないって諦めていたから。
だから反発した。

今の私の心境の変化を、希望と捉えるか諦めと捉えるかは
人それぞれかもしれないけれど、
少なくとも私自身は自分を諦めなくなったからこそ
あの中年夫婦に対する見方が変わったんだと確信している。

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