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四神京詞華集~shishinkyo・anthologie~

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#クリスマスの過ごし方

四神京詞華集外伝/栗栖摩利支乃法師の選択(後編)

四神京詞華集外伝/栗栖摩利支乃法師の選択(後編)

【おはなし、その3】
白虎堀河河川敷。
昨年軽いトラウマを植え付けられかかった童たちだったが、よほど唐菓子が甘かったのか凝りもせず今年もわらわらと集まっている。
やがて十字の杖を手に妖怪、もとい栗栖摩法師が現れる。
「ああめんつけめんぼくいけめん。はい!」
「ああめんつけめんぼくいけめん」
さすがに学習したのだろう、決して自発的でも楽しそうでもないが、童達は寒空の下洟をすすりながら法師に倣って呪文

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四神京詞華集外伝/栗栖摩利支乃法師の選択(前編)

四神京詞華集外伝/栗栖摩利支乃法師の選択(前編)

栗栖摩利支乃法師の話をしよう。

【おはなし、その1】
栗栖摩利支乃法師、略して栗栖摩法師は耶蘇教の導師らしい。
耶蘇教とは大唐帝国から絹の道を通って更に西、かの天竺國よりもまだまだ向こうにあるこの世の果ての蛮族が信奉する邪宗門らしい。
その、らしいらしいに包まれた得体の知れない輩が何故四神京に登場するかと言えばこの都がわりと国際都市だからである。
後々現れるかどうかは分からないが唐モロコシの人は

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