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消失

私は、眠りたい。
そして二度と目を覚まさないで。
それから日が昇って、それが沈んで、
そんなことを何百、何千と繰り返したある夜に、
私は跡形もなく消えてなくなりたい。
今までもそこに何もなかったかのように、
あの時聞こえた森のさざめきのように、
誰からも忘れ去られて、
どこか懐かしい感覚だけ残りますように。
自分が何か分からなくなって、
「そんなこと」を考えることすらなくなって、
「いる」ことだけが確かな存在になれるように
私は願っている。

それでも、この世界をもっと知りたい。
この感情が自分の奥底にこびりついているのは、
まだ私がこの世に執着しているということなのだな。

こんなに身勝手でごめんなさい、と
誰にも聞こえないように謝罪をして

私は今日も生きている。
私は明日も生きていく。

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