ポケモンゲームを買ったことと、ポケモンゲームの思い出

ポケモンのゲームを買った。
「ポケットモンスター ソウルシルバー」である。
発売されてからもう何年経ったのか分からないが、少なくとも新しくはないことは確かだ。
買った理由は単純だ。たまたまふらっと寄った古本屋でたまたまパッケージのルギアが目についたからだ。ポケモンのゲームなんて久しぶりだし、ふと、またポケモンの世界に入りたいと思ったのだ。
家に帰り、寝る準備をしてからカセットの電源をつけた。
最初の町でのイベントをクリアした後、ヒノアラシ、チコリータ、ワニノコの3匹のうちどれかを選ぶことになり、ワニノコを選んだ。特に理由はないが、なんだか怪獣ぽくて格好いいし、それでいて可愛いからだ。
過去の話になるが、ポケモンは過去にポケットモンスターファイアレッドとエメラルドをやったことがある。エメラルドはクリアできたが、ファイアレッドは最後までクリアすることなく終わってしまった。
今でこそポケモンのバトルは属性の有利、不利、特性を考慮する必要があり、その上でチーム編成を考えなければならないことは理解しているのだが、当時何も考えていなかった小学生の自分には、戦略だとか計画だとかそんな文字は頭のどこにもなかった。つまり何が言いたいかというと、ただひたすらにカメックスを育てていたのである。何をするにも、どこに行くにもカメックスのレベルと技にモノを言わせゴリ押していった。
となれば勿論、カメックスとその他のポケモンとのレベルの差は絶望的なものになる。
今も覚えているのが、カメックスがレベル70程度だったのに対し、2番手がレベル40程度のエビワラー、3番手がチャンピオンロードで捕まえたマンキーだったような気がするので、残りの3匹のポケモンもつまりそういうことだったのだろう。
そのままカメックスだけでクリアできるのなら問題なかったのだが、最後のバトル、四天王戦で苦しむことになった。闇タイプとドラゴンタイプの四天王にはそれぞれ「かみつく」と「れいとうビーム」で難なく撃破したのだが、かくとうタイプと水・氷タイプの2人に苦戦を強いられた。カメックスと20ものレベルが離れていようとも、腐っても四天王、なかなかしぶとい。激戦を繰り広げ、なんとか四天王に勝つことができた。

これで終わりだ、良かった安堵していたところ、扉を開け、階段を登った先にはライバルがいるではないか。
嫌な予感を拭えないまま、私はライバルが祝福しに来てくれたのではと淡い期待を抱きながら話しかけたが、彼は戦う気満々である。ライバルは主人公より先に四天王を倒し、チャンピオンとなったことをここでの会話で知ったのだが、そんなことは早く言っておいてほしいし、4人連続で戦った後で遅れたヒーローみたく登場するのはちょっと性格が悪いんじゃないの、と悪態をついた。
最後の最後まで、ライバルと戦わず、祝福してくれるのではと願っていたのだが、その願い虚しく、満身創痍のカメックスとともに最終戦を戦うことになってしまった。
疲弊しきっていたカメックスだが、かいふくのくすりやげんきのかけら等々、持ち合わせの回復の道具を多用しながら、なんとかライバルの最後のポケモン、フシギバナと戦うところまでこぎつけた。しかし、ここでカメックスの技のPPが全て無くなってしまったのである。つまり今まで使っていた強力な技が全て出せなくなり、その代わりに「わるあがき」という、そこまで威力も高くなく、それでいて攻撃の反動で自分にもダメージを受ける技しか使えなくなってしまったのだ。
こうなっては、いくら歴戦の猛者カメックスでも、散りゆくのは時間の問題である。しかもソーラービームだかハードプラントだか、そんなカメックスの弱点でありかつ威力の高い技を連発されればなす術がない。
カメックスが戦闘不能になった後、手持ちのポケモンからレベル40から30のポケモンを出し続ける悲しさ、虚しさと言ったらなかった。もう「早く私を倒してくれ」と言わんばかりのポケモンが続く。
ライバルも驚いたろう。
カメックスが獅子奮迅の活躍で最後の一体まで追い込まれ、万事休すかと思っていたところ、急に「わるあがき」を連発し、やっと倒れたかと思えば後から出てくるのは驚くほどレベルの低いポケモンたちで、中には明らかにここから近くのチャンピオンロードで捕まえてきたであろうポケモンもいる。
カメックスが倒れてからは呆気なく全員ひんしとなり、ポケモンセンターへ向かった。
もう、一体だけ贔屓して育てるのはやめよう。そう心に固く誓ったのである。
幼い頃の、少しほろ苦い記憶となったのだった。

                ***

さて、話をソウルシルバーに戻すが、最初のジムリーダーを倒すところまで進んだ。
ファイアレッドの学習から、とりあえずワニノコとズバットの二体をほぼ均等に育てている。強いポケモンが2匹いる安心感は大きい。
まだスタメンと呼べるポケモンは少ないが、これから仲間を増やして次の町へ進んでいくのだ。小さい頃に見ていたアニメのオープニングテーマが頭を流れる。
いつもいつでもうまくいくなんて保証はどこにもないけど、なんとかやっていこうと思う。
もうすぐワニノコが進化しそうだ。
もうすでに愛着の湧いているポケモンたちを眺め、レポートを書いて電源を切った。
面白い旅になりそうである。

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