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#06 覘の6月号 増刊号(と反省会)

皆様こんにちは、早いもので初夏の訪れを感じますね。
6月は天文活動、冬の季節…。
という訳で雑学スペシャルです。


「覘」6月号



オモテ
ウラ

今月の記事

神話紹介「英雄譚には冠を」

今月の神話は英雄テセウスとその周辺の物語です。
コラムで紹介したテセウスの船やイカロスの翼、ミノタウロスは断片的には有名ですが、流れでは知らない人が多いでしょう。
テセウスの英雄譚はこのエピソード意外にも多く、色々あるのですがなにせいろいろありすぎて紹介しきれません。
今回紹介したところでは、アリアドネをおいていった(本当になぜ?)彼ですが、結局は彼女の妹のパイドラと結婚します。
彼女は義理の息子のヒッポリュトスに懸想してしまい、想いを打ち明けるものの彼に強く非難されついには死んでしまいます。
彼女はヒッポリュトスに辱めを受けたと遺書を残していたので、テセウスは怒り、ヒッポリュトスを殺してしまったのですが、事実を知ってひどく悲しんだとされています。
とはいえ、元気になった後は4月に紹介したペルセポネを冥界から誘拐しようとしたりやんちゃしてたみたいです。
ペルセポネさん、モテるのも大変ですねぇ。ちなみにですが、ハデスと結ばれたあとは仲良くやっていたそうですよ。

一応天文的に注目したいのはかんむり座ですが、この星座はかなりマイナーな星座です。
今回は割愛です。(だって紹介してもみんな見ないと思うし…

カエルの瞳に、映るは水玉

まずはニュースの方に注目しましょうか。
6月2日に月面に着陸した嫦娥6号は月の裏側のサンプルを持ち帰ることを目的に打ち上げられました。
字数の関係で割愛しましたが、中国が月の裏側の地表に探査機を送るのはこれで三回目です。
初めて月の裏側に着陸した「嫦娥4号」は2019年に打ち上げられたものです。意外に最近じゃないですか?アポロ11号が月面に有人着陸したのが1969年。その差なんと50年。オモテとウラでどうしてこんなに時間がかかったのでしょうか。
その答えは電波です。
「覘」の中でも触れましたが地球からは決して月の裏側を見られません。
ということは月の裏側に電波を届かせるには月を貫通させないといけないことがおわかりいただけるでしょうか。

イメージ図

写真ぐらいなら1959年には旧ソ連のルナ3号が写真を撮っていたんですけどね。
ちなみにですが、月の裏側は隕石が多く落ちているのでめっちゃ汚く見えます。
小さいクレーターが多くあって少し不気味に思う人もいるかもしれません。

画像提供: NASA/GSFC/アリゾナ州立大学

逆を言えば隕石資料がたくさんありますからね。
今後の発見に期待がかかります。
さて、本題に戻りましょうか。

今回ご紹介したのは中国の神話。
弓の名手である「羿」とその妻である「嫦娥」についてでしたが、なかなか馴染みのないものだったのではないでしょうか。
実際私も今回の記事を書くにあたって初めて詳細を知りました。
ちなみにですが、羿は地上で逢蒙(ほうもう)という弟子をとるのですが、みるみる腕を上げた逢蒙はあることを考えます。それは羿を殺して自分がこの世で一番の弓の名手となることでした。結局、彼は羿を撲殺してしまい。羿のお話は終わりを迎えます。
なんとも救われないお話ですね。一応他の説として、
羿はヒキガエルとなってしまった嫦娥を哀れに思い、満月の日に月餅をささげて嫦娥の名前を三回呼ぶと、彼女は再び羿の元にもどり地上で二人で暮らした、というのエピソードが付け加えられたりしますが全体的に羿が可哀想と思ってしまうのは私だけでしょうか。

実はこのエピソードに京都と意外な関係があります。
京都といえば妖怪(?)、妖怪といえば天狗(?)ですが、この天狗こそ、羿の話から生まれたものなのです。
そもそも天狗という言葉は”火球”という天文現象を指しているといわれています。火球というのはざっくり説明すると”スーパー流れ星”。


 Thomas Grau, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由


火球が強烈な尾を引きながら、空を一瞬にして流れる様子を遠吠えをしながら”天”を駆ける犬(”狗”)に例えた訳ですね。
この犬は羿の猟犬なのですが、なんと嫦娥が独り占めした不老不死の薬の残りを舐めてしまったらしく、凶暴化した犬は嫦娥を追いかけて空を駆けていったそうです。
この様に”天狗”という概念が生まれたのですが、この時は我々の想像するような天狗ではなく文字通りの”天狗”とされています。
明朝(14世紀~)では天狗が日食や月食を起こすと考える「天狗食日食月信仰」というものに発展していきます。

昔々、太陽神と月神が、人間の起死回生の薬を盗んだ。
人々は犬に月と太陽を追いかけさせた。
しかし、月神と太陽神はすでに薬を飲んでいたので、犬が月と太陽を噛んでも噛んでも、月と太陽は死なない。
それでもこの犬は諦めない。常に月と太陽を食う。
それで、日食、月食が起こるのである。 

『紅河イ族辞典』より

日本では古来から行われた山岳信仰と結びついて、近世の時代には現在の山伏のような姿に解釈されたそうです。
鞍馬山を訪れた時はぜひ、羿と嫦娥のお話を思いだしてくださいね。

反省会と雑談

今回は裏面をガラッと変えて、天体観察補助を目的としたコーナーではなく、プラネタリウムの紹介や天文ニュースに関するものを記事にしました。
6月はね…雨が多いですから…。見れないと思ったほうが得です。
ですから、観測補助をしても見るものがないという悲しい状況を避けるためですね。
全然興味ないとおもいますが、去年の6月の天気を見てもらいましょう。

2023年6月の天気

普段我々は月、木曜に活動しているのですがなんと晴れていたのは一日だけ!
去年、あまりに星が見えなくて次々と同期がサークルに姿をみせなくなっていったのが鮮明に思いだされます。
天気が悪いのはどうしようもないけどね…。

前回も触れましたが、読者層へのアジャストがまだうまくできていない印象です。ただひたすらに自分の興味をかけば良いわけでないのは難しい。
嫦娥の話とか皆おもしろいのかな。結構心配です。
プラネタリウム紹介ですが、京都市青少年科学センターのよさを全然語れていない!というのが正直なところです。皆さん実際に足を運んでみてください。プロのプラネタリウムというのはやはり格別ですから。

あと今月も文字で紙面がパンパンになっていますね。
ほんとは写真コーナーとかやりたいのに…文字が多いと読む気失せちゃう人もいそうなのでもっと短くてもわかりやすい文章を書けるように心がけたいところです。

次号の見通し

次回は7月ということでついに夏に突入しますが、蠍座とてんびん座の関係なんかを紹介したいですね。
夏は大三角もあるし、夜の気温がちょうど良いので天体観察にはぴったりです。はやく梅雨終わんないかなぁ。ではでは、

「星降る夜に逢いましょう。」

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