リストランテ・ほーむ

自治体訟務担当者による、自治体法務的な戯言を、月数回程度

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自治体訟務担当者による、自治体法務的な戯言を、月数回程度

最近の記事

条文とマニュアルとの間にある越えられない壁

法的な判断をする際に、法令をあまりみることなく、マニュアルなどをみて判断しようとする人は多々います。 その多くは問題なく終わると思いますが、まれに審査請求や訴訟が提起されることがあります。 このような場合でも引き続き、マニュアルに基づく弁明や反論をしていては、全く不十分であるといえます。このような場合に必要なものは、条文に即した対応です。 公文書開示請求がなされ、以下の規定に該当するため不開示にしようとする場合を例に挙げます。 「地方公共団体の内部又は相互間における審

    • 他の自治体の調査

      なにかを検討する際に、他の自治体に類似事例はあるか、どのようにやっているかなどを、を調べることはよくあります。 このような他自治体調査は、有益な部分はありますが、思わぬ落とし穴もあったりします。 地方分権・地方自治とはいえ、自治体独自に何かを決定するのにはなかなか勇気が必要です。できれば同じことをやっている「仲間」が欲しいというのが多くの自治体職員の本音でしょう。 しかし、調査の方法を誤るととんでもないことになります。 端的に言えば、「どういうことをやっているのか」と

      • 事務職と専門職の付き合い方

        訴訟の指定代理人になるのは事務職ばかりではありません。建築系・土木系の技術職や教員である指導主事など、専門的な公務員が指定代理人になることは、よくあります。そして、そのような場合は、専門的な事項が争点になっている場合が多いです。 我々のような事務職は、専門的な知識については、専門職の方には全く及びません。当然です。建築の知識についてプロの建築士にかなうはずがないし、教育論についてプロの教員にかなうはずがありません。 よって、訴訟上の対応について、一義的には専門職の方々の意

        • 指定代理人と異動

          「来年度は何人生き残りますかね?」と、 訴訟代理人弁護士は苦笑いを浮かべながら言った。 これはある年度末の一幕です。 自治体の訴訟上の代理人である指定代理人は、一般職の普通の公務員である場合がほとんどです。当然定期異動の対象です。だから指定代理人は変更がよくあります。 一方、訴訟代理人弁護士は普通はなかなか変わりません。 そして、訴訟は一般的に複数年係属するものであり、最高裁まで考えれば10年程度かかることも。 だから、訴訟代理人弁護士は変わらない一方、指定代理人は

        条文とマニュアルとの間にある越えられない壁

          指定代理人の努め

          長崎市幹部が記者に性的暴力し、市に1975万円支払い命令を命じる判決がありました。この中で市は「男性は以前からセクハラに当たる言動をしており、女性が自覚して適切な対応を取っていれば回避できた」などと反論していたようです。 https://mainichi.jp/articles/20220530/k00/00m/040/042000c また、やや古い話では、川口市が訴訟において「いじめ防止法に欠陥」と主張し、同市教育長が文科省から呼び出される事態になりました。

          指定代理人の努め