他の自治体の調査

なにかを検討する際に、他の自治体に類似事例はあるか、どのようにやっているかなどを、を調べることはよくあります。

このような他自治体調査は、有益な部分はありますが、思わぬ落とし穴もあったりします。

地方分権・地方自治とはいえ、自治体独自に何かを決定するのにはなかなか勇気が必要です。できれば同じことをやっている「仲間」が欲しいというのが多くの自治体職員の本音でしょう。

しかし、調査の方法を誤るととんでもないことになります。

端的に言えば、「どういうことをやっているのか」という事実調査と、「どういう理由でやっているのか」という理由調査とは、明確に区別して行う必要があります。

事実調査は比較的容易と言えます。なにを行っているか、事業の対象範囲はどのくらいか、必要な手続はどのようなものか、いつから行っており、どの程度活用されているか、といった客観的事実であれば調査する方も、回答する方も、それほど迷いません。

職員の勤務条件なども同様でしょう。

しかし、これら事実調査が、機械的に理由調査になるとは限りません。

調査対象である先行自治体は相応の検討を行って実施しているはずです。判断に迷い他の自治体調査を行う際に、このことを忘れてはなりません。

つまり、他の自治体調査による事実調査のみで、自分たちが行おうとしている事業が正当化できるとは限りません。

他の先行自治体がいかなる検討を経て行っているのか、条例や規則などを整備しているのか、いかなる法令解釈を行ったのか、など、結論に至った理由付けまで調査を行って初めて参考になる、といえます。

当然、何かトラブルか生じた際に回答をしてくれた自治体が協力してくるはずがありません。

よって、極端に言えば、このような他の自治体調査は本質的にはあまり意味が無いかもしれません。あくまでも参考程度といえます。

仮に行う場合は、事実調査で足りるのか、理由調査まで必要なのか、を十分考慮する必要があります。

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