指定代理人と異動

「来年度は何人生き残りますかね?」と、 訴訟代理人弁護士は苦笑いを浮かべながら言った。

これはある年度末の一幕です。

自治体の訴訟上の代理人である指定代理人は、一般職の普通の公務員である場合がほとんどです。当然定期異動の対象です。だから指定代理人は変更がよくあります。

一方、訴訟代理人弁護士は普通はなかなか変わりません。

そして、訴訟は一般的に複数年係属するものであり、最高裁まで考えれば10年程度かかることも。

だから、訴訟代理人弁護士は変わらない一方、指定代理人はよく変わるのです。

長年携わっている指定代理人は、主たる争点、事実に対する認識や今まで積み重ねてきた主張、相手方の主張など、細部にわたり精通し、代理人弁護士からしても頼りになる存在である場合も少なくありません。

そんな指定代理人が変わってしまっては、訴訟代理人弁護士としてもなかなか辛いといえます。冒頭の発言は、それを揶揄したものともいえます。

だから、指定代理人は複数指定し、長期的視野にたった計画的な人事が必要といえます。

……、が、実際はそのようなことはあまり考慮されず、行き当たりばったりなケースもしばしば耳にしますね。




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