指定代理人の努め

長崎市幹部が記者に性的暴力し、市に1975万円支払い命令を命じる判決がありました。この中で市は「男性は以前からセクハラに当たる言動をしており、女性が自覚して適切な対応を取っていれば回避できた」などと反論していたようです。

https://mainichi.jp/articles/20220530/k00/00m/040/042000c
   

 また、やや古い話では、川口市が訴訟において「いじめ防止法に欠陥」と主張し、同市教育長が文科省から呼び出される事態になりました。

https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/education/22503/
    

このような主張には批判が寄せられています。

一般に、自治体が訴訟の当事者になる場合は、弁護士である代理人と、職員である指定代理人の、2つの立場にある者が代理人になります。

また、いわゆる準備書面などの作成は、代理人弁護士が中心になって作成するパターンと、指定代理人が中心になって作成するパターンとに、大別されます。

先に触れた「問題のある主張」は、代理人弁護士が中心になって準備書面なんかを作成するパターンに見られやすいように感じます。

自身の経験からしても、代理人弁護士はかなり無茶なことを主張しようとすることがありました。それは、およそ公共団体としては不適切な主張、例えば、一種の脅しであったり、相手を辱めるようなものであったりしました。

そんな時は、とにかくやめて欲しいと粘り強く交渉したりして軌道修正を図ります。

確かに相手は弁護士であり、正直、意見するのは躊躇しますが、いくら係争状態とはいえ、公共団体として適切な主張とするため、場合によっては強い口調で意見するよう努めています。

指定代理人にとって必要なのは、自らも自治体を代表する代理人であることを意識することと、相手が弁護士であろうと臆することなく意見を言うパワーではないかと思います。

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