事務職と専門職の付き合い方

訴訟の指定代理人になるのは事務職ばかりではありません。建築系・土木系の技術職や教員である指導主事など、専門的な公務員が指定代理人になることは、よくあります。そして、そのような場合は、専門的な事項が争点になっている場合が多いです。

我々のような事務職は、専門的な知識については、専門職の方には全く及びません。当然です。建築の知識についてプロの建築士にかなうはずがないし、教育論についてプロの教員にかなうはずがありません。

よって、訴訟上の対応について、一義的には専門職の方々の意見・考え方にウェイトがおかれることになります。

では事務職は何をすればよいのでしょうか。

まずは、専門職の方の意見・考え方が客観的に正しいのか、確認・検討する必要があるでしょう。

専門職の方の意見・考え方が一般的に通用するのか、個人的な見解に過ぎないのではないか、その根拠法令はなにか、その妥当性を裏付ける書証はあるのか。これは訴訟事務を遂行する上で重要です。

次に挙げられるのが「翻訳」です。

訴訟は、相手方を打ち負かすことよりも、裁判官に自らの主張を理解してもらう必要があります。その前提として、訴訟代理人弁護士が正しく理解する必要もあります。

しかし、弁護士や裁判官は全知全能でありません。むしろ特定の分野では素人であることも想定されます。

よって、こちらが考えていることを完璧に理解してもらえるとは限りません。そのためには、いかに難しい内容であっても、可能な限り分かりやすく整理し、最終的には、準備書面にしたためる必要があります。

事務職と専門職、どちらが弁護士や裁判官に近いかといえば、素人である分だけ事務職の方が近いといえます。

よって、事務職が専門職の意見・考え方を噛み砕き、訴訟代理人との掛橋となり、裁判官が理解しやすい書面となる役割を果たす必要があるといえます。

訴訟だからといって事務職が前面にでるのではなく、また、専門職に任せっきりにするのではなく、争点となっている内容などにより柔軟に対応する必要があるでしょう。

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